黄朱の民達は言う。
満月の晩、黄海で、月を横切る二頭の騶虞の影を見ることがある。たまに、影の間に羽根が見えると言う者がいる。その者達の耳には、影の向こうから男と少年、そして女の笑い声が微かに聞こえると。
何もかも 遠い 古語りである。
終わり
黄朱の民達は言う。
満月の晩、黄海で、月を横切る二頭の騶虞の影を見ることがある。たまに、影の間に羽根が見えると言う者がいる。その者達の耳には、影の向こうから男と少年、そして女の笑い声が微かに聞こえると。
何もかも 遠い 古語りである。
終わり
己の犯した罪故に失道せぬまま寿命を終えた黒き麒麟。彼の仕えた王は、残りの時間を、次王が現れるまで民の暮らしが立ち行くために捧げ、いよいよ自分の足で歩けなくなる間際で、己の騎獣である二頭の騶虞を故郷へ戻すと言い置き、黄海へ飛び去った。そして間もなく、白雉が二声を告げ、落ちた。遺体を見た者はいない。
更に黄朱の民は伝える。北の王が黄海へ去った後、それを追った将軍が一人いた。不思議なことに、その将軍が黄海へ飛び立つ時に乗騎したのが、当の昔に亡くした彼女の騎獣だった、と。その後、将軍の姿を見た者も、いない。
→ 続く
己の犯した罪故に失道せぬまま寿命を終えた黒き麒麟。彼の仕えた王は、残りの時間を、次王が現れるまで民の暮らしが立ち行くために捧げ、いよいよ自分の足で歩けなくなる間際で、己の騎獣である二頭の騶虞を故郷へ戻すと言い置き、黄海へ飛び去った。そして間もなく、白雉が二声を告げ、落ちた。遺体を見た者はいない。
更に黄朱の民は伝える。北の王が黄海へ去った後、それを追った将軍が一人いた。不思議なことに、その将軍が黄海へ飛び立つ時に乗騎したのが、当の昔に亡くした彼女の騎獣だった、と。その後、将軍の姿を見た者も、いない。
→ 続く
騶虞達は目も見えぬ速さで動き回り、彼らの去った後には妖魔の死体が残る。その死体を見ると、獣の爪痕や歯痕は全く無く、まるで剣で切り落としたように、きれいに両断されているそうな。
二頭の騶虞の噂を聞き、捕らえようとする不届き者も現れた。餌を撒き、罠を仕掛けて待つこと暫し、鈴が鳴る。しかし鳴ったのは自分達の罠ではない。見ると、黒白の騶虞の後ろに、淡い人影が佇んでいる。
白く光る靡く髪、紅玉のような瞳に射られ、不届き者達は腰を抜かして動けない。騶虞を率いて淡い光に消えるお姿からは、微かな鈴の音が聞えたという。
黄朱の民は伝える。そのお方は遥か北の国の王ではないか、と。
→ 続く
騶虞達は目も見えぬ速さで動き回り、彼らの去った後には妖魔の死体が残る。その死体を見ると、獣の爪痕や歯痕は全く無く、まるで剣で切り落としたように、きれいに両断されているそうな。
二頭の騶虞の噂を聞き、捕らえようとする不届き者も現れた。餌を撒き、罠を仕掛けて待つこと暫し、鈴が鳴る。しかし鳴ったのは自分達の罠ではない。見ると、黒白の騶虞の後ろに、淡い人影が佇んでいる。
白く光る靡く髪、紅玉のような瞳に射られ、不届き者達は腰を抜かして動けない。騶虞を率いて淡い光に消えるお姿からは、微かな鈴の音が聞えたという。
黄朱の民は伝える。そのお方は遥か北の国の王ではないか、と。
→ 続く
でもその分、尚隆が現在居る場所と蓬莱は、既に別世界だという感じがありますね🥲
でもその分、尚隆が現在居る場所と蓬莱は、既に別世界だという感じがありますね🥲
😶!
いえ、ありがとうございます😆🥰
😶!
いえ、ありがとうございます😆🥰