とは言え。
この縁も細く頼りないものになった実感はあった。少なくとも、江澄には。
悪態吐きつつ、ずっと一緒にいたけれどお互いいつかは大人になる。そのことにほんの少し寂しさを覚えているなんて、目の前で藍忘機と通話している魏無羨に絶対に言う訳はないけれど。
(俺も恋人でも出来れば)
なんて、張り合ってどうする。
#曦澄こたつおでん
とは言え。
この縁も細く頼りないものになった実感はあった。少なくとも、江澄には。
悪態吐きつつ、ずっと一緒にいたけれどお互いいつかは大人になる。そのことにほんの少し寂しさを覚えているなんて、目の前で藍忘機と通話している魏無羨に絶対に言う訳はないけれど。
(俺も恋人でも出来れば)
なんて、張り合ってどうする。
#曦澄こたつおでん
大学生になり、後学の為と叔父の手伝いをするようになった曦臣は年末の雑務の合間に休憩がてら江澄にメッセージを送った。
クリスマスイブの日の約束を社交辞令か何かだと思われていたら困る。それに、もたもたしていたらせっかくの冬が終わってしまう。
あの日ふたりでそうしたように、こたつでみかんを食べるのだ。
今度は【スーパーの特売のみかん】を。
首尾よく江澄からの返信は曦臣を喜ばせるものだった。
#曦澄こたつおでん
大学生になり、後学の為と叔父の手伝いをするようになった曦臣は年末の雑務の合間に休憩がてら江澄にメッセージを送った。
クリスマスイブの日の約束を社交辞令か何かだと思われていたら困る。それに、もたもたしていたらせっかくの冬が終わってしまう。
あの日ふたりでそうしたように、こたつでみかんを食べるのだ。
今度は【スーパーの特売のみかん】を。
首尾よく江澄からの返信は曦臣を喜ばせるものだった。
#曦澄こたつおでん
そう言って体育館を出る藍曦臣に江澄が何か言いたそうにしたけれど、これから表彰式もあるだろう彼は顧問に呼ばれて行ってしまった。
会話とは言えない程度に交わした言葉。
知らず、曦臣は笑みを浮かべて車に乗り込んだ。
それからしばらくして、忘機が魏無羨と恋人として付き合いたいのだという相談を受けた。高校3年の大事な時期。しかし彼らの真剣さは伝わったので曦臣なりに見守ることにした。
同時に、束の間の再会を果たした江澄とは顔を合わせる機会が増えた。その度に江澄は複雑な表情を浮かべたけれど、実は親しい友の少ない曦臣は彼と会うのが次第に楽しみになっていた。
#曦澄こたつおでん
そう言って体育館を出る藍曦臣に江澄が何か言いたそうにしたけれど、これから表彰式もあるだろう彼は顧問に呼ばれて行ってしまった。
会話とは言えない程度に交わした言葉。
知らず、曦臣は笑みを浮かべて車に乗り込んだ。
それからしばらくして、忘機が魏無羨と恋人として付き合いたいのだという相談を受けた。高校3年の大事な時期。しかし彼らの真剣さは伝わったので曦臣なりに見守ることにした。
同時に、束の間の再会を果たした江澄とは顔を合わせる機会が増えた。その度に江澄は複雑な表情を浮かべたけれど、実は親しい友の少ない曦臣は彼と会うのが次第に楽しみになっていた。
#曦澄こたつおでん
ただふと、同居とは言えすぐ藍忘機のところへ行ってしまう(いちゃつくなら家には来るなと言ったのは江澄だ)魏無羨を送り出した後、二人分のつもりで作った大量のおでんを前に他に誰かこれを一緒に食べられる相手がいたらな、と思うのだ。
そんな時に、何故か自分を気遣って訪ねて来るようになったのが藍曦臣だった。
つい先日、正に大量のおでんを仕込んだ後にも彼はやって来たのだがその時は一緒に食べることに思い至らなかった。
手土産の高級みかんを向かい合わせで食べながらクリスマスイブを過ごすことになったのだった。
#曦澄こたつおでん
ただふと、同居とは言えすぐ藍忘機のところへ行ってしまう(いちゃつくなら家には来るなと言ったのは江澄だ)魏無羨を送り出した後、二人分のつもりで作った大量のおでんを前に他に誰かこれを一緒に食べられる相手がいたらな、と思うのだ。
そんな時に、何故か自分を気遣って訪ねて来るようになったのが藍曦臣だった。
つい先日、正に大量のおでんを仕込んだ後にも彼はやって来たのだがその時は一緒に食べることに思い至らなかった。
手土産の高級みかんを向かい合わせで食べながらクリスマスイブを過ごすことになったのだった。
#曦澄こたつおでん
きっと実家を出て初めての冬だから寂しさがあるだけ。ちょっとしたホームシックのようなものだ。
大学とバイトは忙しくてそんな感傷に浸る時間もない。借りた部屋に帰った時に、自分で灯りを点ける瞬間だけが、少し苦手だ。
しばらく不在になるからと冷蔵庫もほぼ空だった。
早めに実家に帰るかなあと、江澄はカップ麺の為にお湯を沸かしながらぼんやりと思った。
そう言えは新年の売り出しに家電もあるからこたつを見に行くのもいいかもしれない。藍曦臣との約束を思い出して、ひとりで笑う。
あの人はカップ麺なんて、食べたことなさそうだ。
#曦澄こたつおでん
きっと実家を出て初めての冬だから寂しさがあるだけ。ちょっとしたホームシックのようなものだ。
大学とバイトは忙しくてそんな感傷に浸る時間もない。借りた部屋に帰った時に、自分で灯りを点ける瞬間だけが、少し苦手だ。
しばらく不在になるからと冷蔵庫もほぼ空だった。
早めに実家に帰るかなあと、江澄はカップ麺の為にお湯を沸かしながらぼんやりと思った。
そう言えは新年の売り出しに家電もあるからこたつを見に行くのもいいかもしれない。藍曦臣との約束を思い出して、ひとりで笑う。
あの人はカップ麺なんて、食べたことなさそうだ。
#曦澄こたつおでん
あまりに単刀直入だったろうか。
しかし回りくどいのも嫌だ。
江澄は家の用事で藍家の面々と会った時、小声で藍曦臣に訊いてみた。
「うん?忘機たちのことですか?」
後輩の江澄相手に敬語を使う曦臣は、距離感がいまいちわからない人だった。
「いいも悪いも、本人たちが決めることで、いくら家族でも口出し出来ることではないと……私は思うのだけれど」
「そう、ですか」
藍家は厳しい家だから、藍忘機が魏無羨と付き合うだなんて許さないのではと勝手に考えていた。
魏無羨を心配した訳ではない、決して。
藍家の双璧と謳われる兄の方は、案外弟に甘いのかもしれない。
#曦澄こたつおでん
あまりに単刀直入だったろうか。
しかし回りくどいのも嫌だ。
江澄は家の用事で藍家の面々と会った時、小声で藍曦臣に訊いてみた。
「うん?忘機たちのことですか?」
後輩の江澄相手に敬語を使う曦臣は、距離感がいまいちわからない人だった。
「いいも悪いも、本人たちが決めることで、いくら家族でも口出し出来ることではないと……私は思うのだけれど」
「そう、ですか」
藍家は厳しい家だから、藍忘機が魏無羨と付き合うだなんて許さないのではと勝手に考えていた。
魏無羨を心配した訳ではない、決して。
藍家の双璧と謳われる兄の方は、案外弟に甘いのかもしれない。
#曦澄こたつおでん
用事を終えた藍曦臣はこのまままっすぐ帰るのもつまらないな、と車を市街地の方へ走らせた。行きたいところがある訳でなし、少しドライブして帰ろうと思ったのだ。その時にたまたま、弟を見かけた。ちょうど駅から出て来たようで、曦臣はロータリーに入って声をかけた。
自宅の最寄りではないから帰りではないだろう。どこかへ行くなら送ってあげよう、と。駐車スペースに停まった車まで、弟がやって来る。
「ああ、お友だちが一緒だったんだね」
見れば、弟と並んで随分気落ちした様子の少年がひとり。
「事故があったようで、電車が止まってしまったのです」
#曦澄こたつおでん
用事を終えた藍曦臣はこのまままっすぐ帰るのもつまらないな、と車を市街地の方へ走らせた。行きたいところがある訳でなし、少しドライブして帰ろうと思ったのだ。その時にたまたま、弟を見かけた。ちょうど駅から出て来たようで、曦臣はロータリーに入って声をかけた。
自宅の最寄りではないから帰りではないだろう。どこかへ行くなら送ってあげよう、と。駐車スペースに停まった車まで、弟がやって来る。
「ああ、お友だちが一緒だったんだね」
見れば、弟と並んで随分気落ちした様子の少年がひとり。
「事故があったようで、電車が止まってしまったのです」
#曦澄こたつおでん
高校は同じだったけれど学年も違うし江澄のことなど藍曦臣は気付いていない。別に構わなかったけれど。既に学内外で有名人だった曦臣と関わるのは避けたかったからちょうどいい。目立つ存在が近くにいると面倒ごとに巻き込まれるからだ。そんなもの、ひとりで十分だ。いや、本当ならひとりでも持て余す。ただこちらは兄弟のようなものなので諦めの境地だし、放ってはおけないと思ってしまうから自業自得ではある。
藍曦臣との再会(と呼べるものかわからないが)は、その面倒ごとが呼び込んだ。
#曦澄こたつおでん
高校は同じだったけれど学年も違うし江澄のことなど藍曦臣は気付いていない。別に構わなかったけれど。既に学内外で有名人だった曦臣と関わるのは避けたかったからちょうどいい。目立つ存在が近くにいると面倒ごとに巻き込まれるからだ。そんなもの、ひとりで十分だ。いや、本当ならひとりでも持て余す。ただこちらは兄弟のようなものなので諦めの境地だし、放ってはおけないと思ってしまうから自業自得ではある。
藍曦臣との再会(と呼べるものかわからないが)は、その面倒ごとが呼び込んだ。
#曦澄こたつおでん
行き先がどこかわからないが高校生にタクシーに飛び乗って、なんて選択肢はなかっただろう。
弟の忘機が戸惑う友人を先に後部座席に押し込んだ。
聞けば、早めの電車で向かう予定ではあったものの駅で迷子に遭遇し懐かれて、その子の親が迎えに来るまで一緒にいてあげたのだそうだ。電車が通常運行ならば何も問題なかったはずだ。
「すみません」
「私が通りかかってよかった」
目的地は、隣県の総合体育館。全国レベルの大会も行われる充実した施設だ。曦臣も大学の行事やスポーツサークルの助っ人で行ったことがある。
「決勝に間に合いそう」
ほっとした声がした。
#曦澄こたつおでん
行き先がどこかわからないが高校生にタクシーに飛び乗って、なんて選択肢はなかっただろう。
弟の忘機が戸惑う友人を先に後部座席に押し込んだ。
聞けば、早めの電車で向かう予定ではあったものの駅で迷子に遭遇し懐かれて、その子の親が迎えに来るまで一緒にいてあげたのだそうだ。電車が通常運行ならば何も問題なかったはずだ。
「すみません」
「私が通りかかってよかった」
目的地は、隣県の総合体育館。全国レベルの大会も行われる充実した施設だ。曦臣も大学の行事やスポーツサークルの助っ人で行ったことがある。
「決勝に間に合いそう」
ほっとした声がした。
#曦澄こたつおでん
高校までと打ち込んだ剣道の防具も竹刀も、部屋の隅に鎮座している。運動神経を買われて他のスポーツの助っ人に駆り出されることはあるが久しぶりに竹刀を素振りすれば普段使わない筋肉が早速疲労を訴えた。
少しも埃っぽくないのは毎日窓を開け、掃除されているからだろう。今更ながら家族の有り難みを実感した。
実家に帰ったからと言って、地元で友だちと会う約束がある訳でもなく、ただ恒例だからという理由で初詣には行こうと思っていた。
有名なところでなくていい。すぐ近くの神社だって、大晦日と三賀日はなかなかの賑わいを見せるのだ。
#曦澄こたつおでん
高校までと打ち込んだ剣道の防具も竹刀も、部屋の隅に鎮座している。運動神経を買われて他のスポーツの助っ人に駆り出されることはあるが久しぶりに竹刀を素振りすれば普段使わない筋肉が早速疲労を訴えた。
少しも埃っぽくないのは毎日窓を開け、掃除されているからだろう。今更ながら家族の有り難みを実感した。
実家に帰ったからと言って、地元で友だちと会う約束がある訳でもなく、ただ恒例だからという理由で初詣には行こうと思っていた。
有名なところでなくていい。すぐ近くの神社だって、大晦日と三賀日はなかなかの賑わいを見せるのだ。
#曦澄こたつおでん
家の付き合いで知っているのだが、同じ高校だったのに在学中は話す機会もなかったし剣道部に入ったのも聞いていたのに一度も試合を観たことがなかった。
空いたスペースに車を停め、高校生に戻ったような気分で体育館に足を踏み入れればちょうど決勝戦が始まるところのようで、ワッと歓声に圧される。
盛り上がっている応援団の中に、弟と魏無羨をみつけた。
#曦澄こたつおでん
家の付き合いで知っているのだが、同じ高校だったのに在学中は話す機会もなかったし剣道部に入ったのも聞いていたのに一度も試合を観たことがなかった。
空いたスペースに車を停め、高校生に戻ったような気分で体育館に足を踏み入れればちょうど決勝戦が始まるところのようで、ワッと歓声に圧される。
盛り上がっている応援団の中に、弟と魏無羨をみつけた。
#曦澄こたつおでん
まだ、いつとは決まっていない約束の為だろう。江澄より忙しいはずの藍曦臣からのメッセージ。
家具店や家電店の初売り状況などきっと知らないだろうから代わりに調べておいてやってもいい。どうせ暇なのだ。
『しばらく実家です。バイトが入っている日以外はあなたの都合に合わせてもらって構わないです』
そう返信するとすぐにまた『ありがとう』と返って来た。
今頃藍家は一族が集まっているのだろう。酒を飲むのを禁じている一族の宴会とはどんなものなのだろう。
まだ酒を飲んでいい年齢ではないが将来酒豪になる予定の江澄は、自分はそんな宴席は御免だなと肩を竦めた。
#曦澄こたつおでん
まだ、いつとは決まっていない約束の為だろう。江澄より忙しいはずの藍曦臣からのメッセージ。
家具店や家電店の初売り状況などきっと知らないだろうから代わりに調べておいてやってもいい。どうせ暇なのだ。
『しばらく実家です。バイトが入っている日以外はあなたの都合に合わせてもらって構わないです』
そう返信するとすぐにまた『ありがとう』と返って来た。
今頃藍家は一族が集まっているのだろう。酒を飲むのを禁じている一族の宴会とはどんなものなのだろう。
まだ酒を飲んでいい年齢ではないが将来酒豪になる予定の江澄は、自分はそんな宴席は御免だなと肩を竦めた。
#曦澄こたつおでん
我が子を抱き上げ、姉は微笑んだ。
姉の厭離はまだ幼い頃からこうだ。江澄のことも、江澄の友人、とりわけ兄弟かのように育った魏無羨のこともいつだってただ信じてくれる。この姉がいたから自分より秀でていると言われる幼馴染が隣にいても腐らず逆恨みせずにいられたのかもしれない。
この大会は、江澄にとって約12年間の集大成だった。
途中で辞めてしまった魏無羨に優勝を見せつけてやる。と言えば多くの者が負けず嫌いが唯一あいつに勝てる場だからなんて思うだろう。
勝手に言ってろ。
俺が勝てば、あいつは喜ぶ。
「江澄!」
その時、珍しく必死な声が聞こえた。
#曦澄こたつおでん
我が子を抱き上げ、姉は微笑んだ。
姉の厭離はまだ幼い頃からこうだ。江澄のことも、江澄の友人、とりわけ兄弟かのように育った魏無羨のこともいつだってただ信じてくれる。この姉がいたから自分より秀でていると言われる幼馴染が隣にいても腐らず逆恨みせずにいられたのかもしれない。
この大会は、江澄にとって約12年間の集大成だった。
途中で辞めてしまった魏無羨に優勝を見せつけてやる。と言えば多くの者が負けず嫌いが唯一あいつに勝てる場だからなんて思うだろう。
勝手に言ってろ。
俺が勝てば、あいつは喜ぶ。
「江澄!」
その時、珍しく必死な声が聞こえた。
#曦澄こたつおでん
互いを打ち、或いは防御する竹刀の音。接近して防具のぶつかる音。こんなに激しいものだとは思わなかった。
「やった!」
その声で、江澄が勝ったのだと知る。
美しい所作で面を外すと現れた江澄の顔は今まで見たことのない晴れやかな表情で、その顔が曦臣をみつけた時に意外そうなものに変わるのをとても残念に思った。
「おめでとう」
「藍、曦臣」
何故ここに?と、その瞳が問うている。曦臣自身、その問いの答えは定かでなかった。
「江澄!江澄!やったな!」
「まだ団体戦もあるから」
#曦澄こたつおでん
互いを打ち、或いは防御する竹刀の音。接近して防具のぶつかる音。こんなに激しいものだとは思わなかった。
「やった!」
その声で、江澄が勝ったのだと知る。
美しい所作で面を外すと現れた江澄の顔は今まで見たことのない晴れやかな表情で、その顔が曦臣をみつけた時に意外そうなものに変わるのをとても残念に思った。
「おめでとう」
「藍、曦臣」
何故ここに?と、その瞳が問うている。曦臣自身、その問いの答えは定かでなかった。
「江澄!江澄!やったな!」
「まだ団体戦もあるから」
#曦澄こたつおでん
清々した気持ちと、何となしに寂しい気持ち。後者は姉の結婚が決まった時と似ているだろうか。
「あ。いつ返信来てたんだ?」
実家の年末は時間が間延びして、のんびりし過ぎかもしれない。
スマホを確認した江澄は結局例年と変わらなそうなスケジュールに頬を緩ませた。
俺が合わせると言ったのに。
あの人はやはり大人だ。
#曦澄こたつおでん
清々した気持ちと、何となしに寂しい気持ち。後者は姉の結婚が決まった時と似ているだろうか。
「あ。いつ返信来てたんだ?」
実家の年末は時間が間延びして、のんびりし過ぎかもしれない。
スマホを確認した江澄は結局例年と変わらなそうなスケジュールに頬を緩ませた。
俺が合わせると言ったのに。
あの人はやはり大人だ。
#曦澄こたつおでん
既に部活動を引退した者もいるが江澄は大会に出場した。大方の予想と実力の通り決勝にまで勝ち進んだが、必ず応援に行くと息巻いていた魏無羨の姿が見えない。姉に訊けばこちらに向かってはいるらしい。
「あいつの応援なんかなくても関係ない」
「でも約束した優勝を直接見て欲しいのね」
「約束した訳じゃっ」
「あら、阿羨は阿澄は約束を守る男だって言っていたわよ?」
「そんなの普通だろ?あいつがいつも他に気を取られて俺との約束をすっぽかすだけだ」
「阿澄ならわかってくれると思ってるのよ。阿羨が約束を破るのに理由がなかったことはないでしょ?」
「理由がなかったら足を折ってる!」
#曦澄こたつおでん
既に部活動を引退した者もいるが江澄は大会に出場した。大方の予想と実力の通り決勝にまで勝ち進んだが、必ず応援に行くと息巻いていた魏無羨の姿が見えない。姉に訊けばこちらに向かってはいるらしい。
「あいつの応援なんかなくても関係ない」
「でも約束した優勝を直接見て欲しいのね」
「約束した訳じゃっ」
「あら、阿羨は阿澄は約束を守る男だって言っていたわよ?」
「そんなの普通だろ?あいつがいつも他に気を取られて俺との約束をすっぽかすだけだ」
「阿澄ならわかってくれると思ってるのよ。阿羨が約束を破るのに理由がなかったことはないでしょ?」
「理由がなかったら足を折ってる!」
#曦澄こたつおでん