岡田一実
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俳人・岡田一実。句集に『境界ーborderー』(2014)、『新装丁版 小鳥』(2015)、『記憶における沼とその他の在処』(2018) 、『光聴』(2021)、『醒睡』(2024) 単著に『篠原梵の百句』(2024)HAIKU,for its own sake.
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岡田一実著『篠原梵の百句』、版元で在庫切れですが、現代俳句協会の妻恋坂書房でお取り扱いして頂くことになりました。
手元在庫はありません。
この機会にお手に取って頂けると幸いです!

岡田一実『篠原梵の百句』 - 現代俳句協会
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岡田一実『篠原梵の百句』 - 現代俳句協会
岡田一実『篠原梵の百句』  (gh-b-87) 販売価格(税込)¥1,710在庫状態 : 在庫有り  ◆実存と思想 梵の場合は、言葉の内在的な豊かさを用いて思想を表現することよりも、物事や情感を簡潔な …
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「伝統」というのは、過去から現在の欲望をチェリーピッキング的に引き出すことで成り立っている。「伝統」は権威で、権力を欲する者は、その権威の系譜を自分の都合の良い線に引き直す。
輪の外から見ているとあからさまなのだが、輪の内にいると単純に「健気な仕事」に見えるかもしれない。

この社会は、権力を欲する者に期待し、権力を渡す。権力を欲する者の内実は問わない。
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「中八」が忌避される理由、というのは案外説明が難しい。
つまらない一段階があり、その後に面倒くさい二段階くらいがある。話が複雑になる……。
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この俳句が失敗していると言いたいのではない。絶妙なバランスで立っている句だと私も思う。が、「偶然」の可能性もある。

「句をよく読むこと」というのは、作者に屈み込んで下賜を受けることではない。

他の作を読むと「熟慮」には疑念が湧くが、「て」のゆっくりとした時間の送り方に対して、「槍に」というリズムの詰まった近づき方が切迫感を生んで、独特の時間の歪みを感じさせる句になっている、というのが私の読みです。

#読書
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春ひとり槍投げて槍に歩み寄る 能村登四郎

これは代表的な「中八」の例で、「登四郎先生は熟慮に熟慮を重ねて中八にしたに違いない!」という言説があるが、この句集を読む限り、「うっかり」もあり得るなと思う。同じ「中八」に〈毒消売よろめきよろめき来て坐る〉という句があり、他の字余り感からしても、「熟慮に違いない」という思い込みはただの権威主義なのではないかと思った。
#読書
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鏡の間秋の旅人としてうつる
ひぐらしの流離の声の巖ばしら
ひた寄せて遠引く潮も晩夏なる
はだか山灼くるを更に削ぎやまず
ひそと降りる真夜の湯壺に羽蟻浮く
朝涼や飼はれて山の赤毛栗鼠
沢桔梗はらばひ旅の顔浸す
渓の湯に葛ながれ身も流るゝなり
海見ざる子を前にわが旅日焼
転校生よみがへる名の賀状かも
子の熱のくちびる勁く蜜柑吸ふ
荒塩に妻の指跡春逝けり
握飯焼きにほはせて暑に負けじ
羽搏つごとし荒瀬にたれし葛の蔓
冬雲をみてゐて教壇をふみはずす
馬の鼻孔の大きさよ白息に濡れ
釧路と書き何の木箱か霜に積む
スキーに唇触る若ものゝ眠りふかむ度
囚徒三百礼し顔あぐ咳二三
#読書
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能村登四郎『合掌部落』、読了。
たぶん再読なのだが、ほとんど覚えていなかった。「社会性俳句」を「風土」という切口から眼差した作が多く、当時は意義深かったかもしれない。ただ、村人や農夫、漁夫、あるいは囚人を「哀れな人々」と他者化してみせるという作風はどれも苦手。知識人の鈍感な上から目線に感じる。「馬酔木」はそういう作家が多い……。説明的な上五字余りにも乗れなかった。
#読書
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『文藝春秋』11月号、新作6句「端」をご掲載いただいております。短歌は東直子さん、自由詩はカニエ・ナハさん。どちらも読み応えのある作品です。
お手にとってご覧いただけると幸いです。
#俳句
#文藝春秋
#読書
がまくんとかえるくんと『文藝春秋』11月号
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石川桂郎『含羞』、読了。
解説によると「俳壇に揺るぎない大家としての地位を確立」とあるが、個人的にはあまり乗れなかった。リズム感が悪く、現場への執着が足りない。内容は「善良」であり、嫌味はないが、平凡ともいえる。採れる句は少なかった。

征くとまた告げ去りし畳蟻がゐる
函館は松に雨降る霊迎
凩やまた空耳の母を前
栗飯を子が食ひ散らす散らさせよ
黒々とひとは雨具を桜桃忌
文机に落葉聖書にうす埃
墨の香の梅の香の中菓子給ふ(秋桜子邸)
藤房を妻の手に戴す平かに
#読書
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暗き森うしろに燕きたる家
非常なる世に芋虫も生れあふ
水洟の句を愛弟子のために書く
濁流や梅雨の蜩こゑ止めて
かまきりも少きとしの秋祭
稲雀百舌鳥に泣く子を置き去りし
白波に西日照りこむ沖膾
海道を一碧として菊日和
月光に遊びつゞけて喉渇く
花烏賊を煮て吹き降りの夕なり
田植一家飯くふ汽車の方に向き
蕎麦干すや富士に横雲馬に影
綿虫や海道一重山幾重
彼岸くる目刺来たりし海辺より
白鳥のごときダンサー火事を見て
正月の和服つめたき襟合す
萍や夏至の太陽やゝ西に
#読書
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青楠の天地はじまる鯉のぼり
凍蝶とまなざし弱き父を見る
やはらかきはこべと水と鴨帰る
麦藁を犇とくゝれば昼螢
栗よりもすでに茸の艶まさる
天龍の大瀬へちかく稲雀
明星の白む焚火にあたゝまる
阿蘇も火を噴くと新樹のきのふけふ
一晩の宿をくらげの海のうへ
初百舌鳥の啼きいでてすぐ雨の中
高くゆく雲と一日秋のセル
沈む日を止め難くして草虱
蝎のいろ走る百足を朝鏡
地虫なくさみだれ水の虚空にて
蜩のこゑ振る山に汽車停まる
寒の暮兎の箱に足ふれて
瘤多き木に立春の日影さす
交りたるあと寂莫の鵙となる
干しひろげ紅き小豆の暮るゝまで
稲牛を見おくりて又雲をみる
二月はや天に影してねこやなぎ
#読書
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百合山羽公『故園』、読了。
虚子門に入り、池内たけしに指導を受け、水原秋桜子に同行して「馬酔木」に移っている。全体的に「馬酔木」らしさが強く、濃い抒情性と季重なりにより移ろいが多く見られる。おおらかな自然詠は格調高く、取り合わせは俳味が光る。「ホトトギス」の一回性の不思議を取り入れてもいて、現代の一部で流行している句風に似る。あまり知らない俳人だったが、好きな句が多かった。
#読書
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ようやく秋めいてきましたね。
岡田一実最新12句『人ごゑ』です。
お楽しみ頂けると幸いです。
#俳句
#読書
人ごゑ    岡田一実
とこしへを音なす水泡楤の花 
眼差して驚き秋の麒麟草 
風の通へるもも色の月の蝕 
川音の雨気を含みて男郎花 
秋蝶のゆらゆら寄つてものの糞 
いつも澄みけふことさらに水澄んで 
蜻蛉追ふ蜻蛉が逸れて空高く 
死なば墓生きなば畦の曼珠沙華 
虫の音のふと側溝の濡れてゐて 
ゑみ終へし顔に当たりて稲の風 
しらしらと天の垂れたり伶人草 
人ごゑの絶えて山道七竈
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午過ぎは風立ちやすし猫柳
中空に秋の燕となりにけり
町角に短日の靄よどみそむ
夕空やむざんに晴れて凍みわたる
かなかなや友の焚くなる湯に浸り
はるかなる人語のあとの秋の風
漠々と雲白かりき十三夜
豆枯れて影たゞしさよ十三夜
初日さす瑞牆山の岩の間ゆ
枯原にわが空腹の影ながし
町の上の浅間が青し夏祭
友に傘ささせて雨の女郎花
高空は疾き風らしも花林檎
畦塗に天くれなゐを流したる
いさかひを楽しむ子等か暑き夜も
山脈の空みどりなす春の月
植ゑし田に夕焼淡くみだれたり
すぐそこに雨脚白し田取草
牛去りて樹頭に白き梅雨の花

#読書
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相馬遷子『山国』、読了。

「馬酔木」を受け継ぐ「季重なり」は上手くいくこともあれば、味わいがバラけてしまうこともある。解説に「格調」という評言があったが、「格調」を狙った句はわざとらしさが残る。むしろ巧まざるシンプルな句にすっと残る佳さがある。

雲行くや樅は深雪に潰えつゝ
草枕ランプまたゝきしぐれくる
滝壺やとはの霧湧き霧降れり
小屋に寝て深山の月を瞼にす
雁の列寒き落暉の中に入る
闇の夜の風が打ちつくるものぞ雪
渡らむと馬を控へつ蝌蚪の水
たまゆらの道べの熟睡夏の月
黙々と憩ひ黙々と汗し行く
忽ちに雑言飛ぶや冷奴
電車より首出しゆくや星祭
片空に星座ひしめく野分かな
#読書
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水野太貴『会話の0.2秒を言語学する』(新潮社、2025)、読了。

「ゆる言語学ラジオ」のスピーカーの水野さんの単著。
前半の基礎的な言語学のパートも十分面白かったが、「手話」、「先天盲とジェスチャー」、「言語常識が文化によって異なる」、「ASDと定型発達」、「吃音」、「会話の流暢性と能力主義」など、文化相対主義と人間特性の多様性に話が及んでいくところが非常に興味深った。
「普通に話せないことがおかしいとは限らない。むしろ普通に話せるのは、ある意味で奇跡ではないか」という結論が素晴らしい。
#読書
がまくんとかえるくんと水野太貴『会話の0.2秒を言語学する』(新潮社、2025)
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〈嫉妬の完全に禁止された社会は、どんな差異も許さない息苦しい社会となる可能性が高い。平等と差異(これらはいずれも民主主義にとって重要な価値である)が交差する地点こそが嫉妬の故郷であるとすれば、民主社会はこの感情の存在を受け入れる必要がある。 だとすると、嫉妬は民主社会を破壊するというよりも、民主主義と同じ土壌から生まれた双子のようなものであり、デモクラシーに不可避の情念であると言うべきなのである。〉

刺激的な「嫉妬論」でした。
#読書
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最も興味深かったのは、第4章「嫉妬・正義・コミュニズム」。嫉妬の問題が、ロールズの「正義論」の急所となっているとした点。ロールズにおいて、嫉妬の誘引は、彼の公正な社会において減少するとされていた。しかし、システムそれ自体は公正であるとされ、私の待遇の悪さは端的に私の能力の低さに起因するとされたとき、私たちはそれを受け入れられるだろうか……。

#読書
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山本圭『嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する』(光文社、2024)、読了。

私たちは、なぜ嫉妬という感情を手放すことができないのか。嫉妬感情は、 政治や社会生活、とりわけ民主主義とどうかかわっているのか。嫉妬にかんする古今東西の言説を分析しながら、この「厄介な感情」を掘り下げて考察。

#読書
がまくんとかえるくんと山本圭『嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する』(光文社、2024)
Reposted by 岡田一実
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🔔予告🔔
10月の三連休の初日に埼玉は南浦和・ゆとぴやぶっくすさんでやります「おさんぽ句会」。今回も近くにあるお店・LETTERさんの季節のジェラート付きです🍨
初心者大歓迎!お気軽にご参加ください〜🍁

🔽申し込み🔽
forms.gle/R6MkKWmxJ77mKS…
「みなみうらわおさんぽ句会」10月11日土曜日14時〜18時。南浦和・ゆとぴやぶっくすから南浦和エリアをぶらぶら散歩しながら俳句を作り、お店に戻ったら句会。季節のジェラート付きで2000円、定員は7名、申し込み締め切りは10月8日。
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角川『俳句』9月号、「新刊サロン」にて大塚凱句集『或』について「音楽的な平熱、その抒情」と題して句集評を寄稿しております。
お手に取っていただけると、幸いです。

#読書
#読了
がまくんとかえるくんと角川『俳句』9月号
Reposted by 岡田一実
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「俳句界」9月号に「口語の発想が光る句」というテーマで、一句鑑賞を載せてもらっています。

おおにしなおさんの

ふちゅーいゆーいゆーえい禁止のゆめみる湖

という句について書きました!
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柴田白葉女『遠い橋』、読了。

蛇笏門らしく、季重なりを厭わないが、もう少し整理しても良かったのではとも。重めの情感が溢れる句風だが、具体性はやや少なめ。

寒鯉の買はるる空のうすみどり
雪はだら鶏は冠をふり歩む
買初や買ひ疲れたる女の瞳
胡麻咲いて薄雲はしる月面
仮死の間に椿おびただしく散りぬ
雷遠し氷片指を辷り落つ
鉄骨に透く夕焼にさんま買ふ
洗ひ髪ならべて月に姉妹
夕時雨をんなの眼もて藍を鑑る

#読書
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高田裕美『奇跡のフォント教科書が読めない子どもを知って―UDデジタル教科書体開発物語』(時事通信社、2023)、読了。

書体デザイナーとして歩んできた32年間の軌跡。
アナログからデジタルの過渡期を邁進して、ユニバーサルデザイン(UD)と出会い、イメージだけではなくエビデンスも加えて「読みやすさ」を追求していく……。
専門的な情報も興味深く読んだ。
本書においてもUDデジタル教科書体がフォントとして選ばれている。

#読書
がまくんとかえるくんと高田裕美『奇跡のフォント教科書が読めない子どもを知って―UDデジタル教科書体開発物語』(時事通信社、2023)