Ichiro Kishimi /岸見一郎
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Ichiro Kishimi /岸見一郎
@ichirokishimi.bsky.social
Philosopher, Author of “The Courage to be Disliked”
『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社)など著書多数、最新刊は『悩める時の百冊百話』(中公新書ラクレ)
『自省のすすめ——ひとりで考えるレッスン』(ちくま新書、12月10日刊行予定)を書き始めたのはずいぶん前のことである。編集者から手紙が届いたのは、2023年の6月だった。今年は4冊本を出すという話を過日古賀さんとしていたら、三ヶ月に一冊ですね、といわれたが、もちろんそうではなく、どの本も書き上げるまでには何年もかかる。正しく考えるためには、何をどう考えればいいか、思考の道筋を明らかにした。最終的には、この人生をどう生きるかという話に行き着く。
November 6, 2025 at 10:39 AM
『自省のすすめ——ひとりで考えるレッスン』(ちくま新書)の校正(3校)をやり終え編集者に贈る。これで私の手を離れた。いつものことながらあまり開放感はない。何度も何度も読み返すので、本当にこの本を読んで面白いと思ってもらえるのだろうかと心配になる。
November 5, 2025 at 1:18 PM
このメモは後に有用になるだろうかというようなことを考えないで書く。後になって何かの役に立つかもしれないし、立たないかもしれない。役に立つかなど今はわからない。役に立たなくても書く。
私の孫は絵が好きで、私の部屋にくるとコピー用紙に2、30枚次々止まることなく描く。これくらい描かないと上達しないのだろうが、上手に描けるようになりたいから描いているようには見えない。
写真を撮る時も、この写真を撮っておけば後から何かの役に立つだろうと考えて写真を撮らないだろう。そんな人もいるかもしれないが。
November 5, 2025 at 1:03 PM
「不安は人間を焦燥せしめ、そして焦燥は人間を衝動的ならしめる。その時人間はいかなる非合理的なものにも容易に身を委せ得るのである。かくて嘗て多くの独裁者は、人民を先ず不安と恐怖とに陥れることによって彼等を自己の意のままに動かそうとしたのである」(三木清「時局と学生」一九三七年九月二十日『三木清全集』第十五巻所収)
  震災時の噂が引き起こした不安は、災害発生時の失策から国民の目を逸らさせた。
November 5, 2025 at 2:42 AM
「私が「絶えず書く」ということを自分に課したのはいつ頃からであったか、いまは正確に記憶はない。ともあれピアニストが絶えずピアノをひくように、自分は絶えず書かなければならない——かつて私はそう考えそれを実践していたのであった」(辻邦生『パリの手記』1)
辻邦生は相当な「書き魔」で、片時も文字を書いていないと生きていけない人だったという。自分の力ではどうすることもできない天性のものだと、半ば諦め、覚悟を決めた、と辻佐保子は書いている(辻佐保子『辻邦生のために』)。
November 5, 2025 at 2:41 AM
『誰にも支配されずに生きる』の重版が決まった。今日は朝から校正している。昨日はコーヒーが飲めないほど不調だったが、今日は快復。
November 5, 2025 at 2:40 AM
「攻撃される危険があるので自衛しなければならないと、何百万もの人に信じ込ませることは困難ではない」(Erich Fromm, The Heart of Man)
自分で考えず政治的指導者に依存している人は、力と確信を持って示されたことを本当のことだと受け取ってしまうからだとフロムはいう。フロムは「生産的に生きる」という言い方をする。「生産的」というのは、自発的、創造的という意味である。他者に依存するのとは真逆の生き方をしなければ、容易に他者の言説を信じてしまうことになる。
November 3, 2025 at 4:50 AM
「ヒトラーの征服が始まってからヒトラーに抵抗を始めるのでは、始める前にすでに負けている」(エーリッヒ・フロム、Interview mit Hans Jürgen Schutz)
抵抗するためには、自分を信じ、批判的に考えることができ、自立した人間でなければならないとフロムはいう。
November 3, 2025 at 4:44 AM
昨日は、古賀史健さんと対談。会うのは5年ぶりだった。『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』を読み直して対談に臨む。対面での仕事をずっとしてこなかったので疲れた。質問リストは事前にもらっていたが、インタビュアーはのっけから無視したので驚いた。おかげで思いもかけない展開になった。
October 30, 2025 at 10:23 AM
人は他者とつながらないと生きていけないが、つながる必要がない、あるいはつながってはいけないつながりは絶たないといけない。これは、『つながらない覚悟』や新刊の『誰にも支配されずに生きる』で強調した論点の一つ。自立しておらず、他者に取り入り従属しようとする人は、支配され、その人に依存することになる。
October 30, 2025 at 10:21 AM
人は誰もがその人が所属している共同体の一つのフロント(面)なので、他の人からその共同体の代表と見なされることがある。代表と見られたくない人であってもである。その人だけがフロントではないことを示していくしかない。
October 28, 2025 at 7:04 AM
検査結果に問題はなかった。今の循環器内科の主治医は三人目。12月に退職するというは話を今日初めて聞いた。
朝、電車に乗ったら本を読んでいる人を何人も見かけた。皆がスマホを覗いているわけではない。
いつかキム・ヨンスの『世界の果て、彼女』を読んでいる人を見かけた。ハン・ガンがノーベル文学賞を取る何年も前の話だ。話しかけたくなったが、もちろんそんなことはできなかった。
October 22, 2025 at 12:55 PM
循環器内科の主治医の系列病院への移動が決まった時、ついてくるようにといわれた。研究と臨床に余念がなく、病院の医師紹介のベージには「生涯一カテーテル医」と書いてあった。
October 22, 2025 at 2:30 AM
政治家として有能かどうかだけが問題で、趣味や人柄などは関係がない。ドラマを観る時間はあるのですねといいたくなる。
October 22, 2025 at 1:56 AM
今朝は5時半に起きて受診のために京都まできている。入院したのはもう20年くらい前のことになる。回診後病室に寄ってくれる主治医と毎日長く話し込んだ。「本は書きなさい。本は残るから」といわれ、退院後は、毎日原稿を書いている。
October 21, 2025 at 11:49 PM
久しぶりにnoteを更新した。孫と歩いていたら、チョウゲンボウ(長元坊)が空を舞っていた。鳥だけでなく、見ようと思ってもなかなか見られないものがある。
note.com/kishimi/n/na...
ふと目に入ってくるもの|岸見一郎
キム・ヨンスは、ソウル地域だけで放送されているFM音楽プログラムを聴くために、屋根に登ってテレビアンテナにラジオを繋いだ。何度もアンテナの向きを変えてみたが、中国、日本、北朝鮮の放送は聞こえたのに、ソウルの放送は受信できなかった。  疲れて屋根の上に寝転んだ時、満天の星が目に飛び込んできた。 「いくらアンテナを回しても北からは何の音も聞こえてこなかった。ただ見えるものは、見ようという気持ちすらなか...
note.com
October 21, 2025 at 7:02 AM
愛も尊敬も強制できない。愛国心も。
October 21, 2025 at 6:20 AM
今日も『自省のすすめ』(筑摩書房)の校正。後は参考文献だけ。適格な指摘も多く、気づいていなかった誤りを訂正できてよかった。流れが悪くなる、また、似たような文章であるという理由で(実は違うのだが)削られたりしたところがあったが。流れが悪くなろうが、緻密な議論なので修正案を不採用にしなければならなかった。私の校正だけがこんなに直されるのかといつも思ってしまう。
2024年に『悩める時の百冊百話』(中央公論新社)を出した時は、校正を頑張りすぎて、帯状疱疹になり、何ヶ月も激痛の中で生きることになった。無理しないよう、今日は校正はここで止めておこう。
October 18, 2025 at 7:18 AM
もうすぐ出版されます。10年ほど毎月開催している講演がもとになっています。サブタイトルにはアドラーの名前が入っていますが、その時々で考えていたことを、アドラーの著作「も」引用しながら話しています。
amzn.to/4nXisIg
誰にも支配されずに生きる アドラー心理学 実践編
いい人すぎるから、苦しい 支配と依存が生みだす 「偽りのつながり」を断とう 『嫌われる勇気』著者 最新作! 「親の過度な期待」「職場の同調圧力」「SNSでの承認欲求」――他人の期待に応え、空気を読み続けるうちに、知らぬ間に“支配と依存関係”に囚われてはいないだろうか。 そのような“偽りのつながり”こそが、あなたの生きづらさの原因である。 本書では、「人の期待に反して行動する勇気を持つ」「自分...
amzn.to
October 18, 2025 at 7:15 AM
八年後に小惑星衝突という予告がされて五年。
「自分のことしか考えていなかった政治家はそろって辞めてしまい、残っているのは、使命感を持った少数の政治家だけになった」(伊坂幸太郎『終末のフール』)
October 18, 2025 at 2:01 AM
「もしひとがいくらかの権力を持っているとしたら、成功主義者ほど御し易いものはないであろう。部下を御してゆく手近な道は、彼らに立身出世のイデオロギーを吹き込むことである」(三木清『人生論ノート』)
今の時代も、「成功主義者」の政治家しかいないのか。
「成功主義者が非合理主義者である場合、彼は恐るべきである」(前掲書)
October 17, 2025 at 2:25 PM
このところ、取材が多かった。日経ビジネス、日経クロスウーマンなどの雑誌、また台湾、中国の出版社などの取材、動画撮影など。午前に仕事が入ると、午後は原稿が書けなくなるほど疲れる。
『「普通」につけるクスリ』(サンマーク出版)の翻訳が出版される(タイトルは『自在感的練習』)。5月に出した本なのでもう翻訳が出ることに驚く。入稿直前だと思うのに、表紙の文言を変えたということで確認依頼のメールが届く。
今日は膳所へ。パスポートを受け取りに行った。2月に失効していたので。前回は有効期限を5年にするか10年にするか迷ったのだが、今回はためらわず10年に。
October 16, 2025 at 8:09 AM
「ガンの群れを連れてドナウの河岸を歩きまわってみたまえ。まったく良心の呵責なしに怠けていることができる。なぜなら一日の八分の七をひなたにねそべって過ごせるからだ」(コンラート・ローレンツ『ソロモンの指輪』)
勤勉の象徴である蜜蜂や蟻でさえ、一日の大部分は何もせずに過ごすとローレンツはいう。人はいつも何かをしていないと気がすまないように見える。
October 13, 2025 at 6:40 AM
昨日、予定より一日遅れて届いた『自省のすすめ』のゲラ(再校)に取り組む。校正はいつも神経をすり減らす気がする。長い時間をかけてゆっくり考え書いた文章を校正のために短時間で集中的に読み返すからだろう。今日で二日目。校正者の鉛筆書きは全部目を通せた。修正の採否を決められない箇所がたくさんある。
校正の到着を待つ間に、アリ・スミスの『秋』を読んだ。眠り続ける老人と傍らにいる若い女性の話を読み、長く眠り続けて逝った母のことを思い出した。今日はもう校正を続けられそうにないので、同じアリ・スミスの『両方になる』を読み始めた。
October 13, 2025 at 6:25 AM
ペルシア戦争の英雄であるペリクレスについて、次のような話が伝えられている(プラトン『国家』)。ある小国人がテミストクレスに向かって、あなたの今日の名声はあなた自身の力によるものではなく、たまたまあなたがアテナイのような国に生まれていたからだといって、彼の名声にけちをつけようとした。
その時、テミストクレスは、なるほど私が君の国に生まれていたのでは私は今日のような名を成すことはでききなかったかもしれない、しかし、君がアテナイに生まれていたからといって、私のような名が得られるとは限らないだろうと答えた。
October 6, 2025 at 10:54 AM