アイコンは、以前お迎えした “わたくしは誰でもない。あなたは誰?” のエミリー。
マクベスの苦悩が痛ましくて、自分でも意外だった。抱いてはいけない野望に憑かれたマクベスとマクベス夫人(シェイクスピア作品の主要な登場人物中、名前がないのはマクベス夫人ただ一人)、まだ迷いのあった弱気な夫を焚きつけたのは妻なのに、次第に良心の呵責に苛まれていく妻を置き去りにする夫…という立場の逆転は、距離感の近過ぎる夫婦ならではのように思える。
片翼を失ったマクベスは悲痛を誰にも見せないけれど、その先には失墜しかない。
#海外文学 @libro.bsky.social
マクベスの苦悩が痛ましくて、自分でも意外だった。抱いてはいけない野望に憑かれたマクベスとマクベス夫人(シェイクスピア作品の主要な登場人物中、名前がないのはマクベス夫人ただ一人)、まだ迷いのあった弱気な夫を焚きつけたのは妻なのに、次第に良心の呵責に苛まれていく妻を置き去りにする夫…という立場の逆転は、距離感の近過ぎる夫婦ならではのように思える。
片翼を失ったマクベスは悲痛を誰にも見せないけれど、その先には失墜しかない。
#海外文学 @libro.bsky.social
首を長くして待っていたけれど、これだけ纏まった作品集として手にすることが出来、本当に嬉しいし有難い。既読の作品も多い中、ただ美しいのではなく底知れぬ怖ろしさの滲む幻想、ますます凄みを増す老いの描写、戦争許すまじ…の筆致に、畏敬と感嘆が胸に溢れる。
とりわけお気に入りは、「壜の中」や「夏を病む」「ララバイ」「『希望』」、表題作(タイトルが秀逸)など…。「人形の家」に出てくる人形の写真が『ゆめこ縮緬』の表紙に使われたものにそっくりで、とても好きな忘れがたい話になった。
#読了 @libro.bsky.social
首を長くして待っていたけれど、これだけ纏まった作品集として手にすることが出来、本当に嬉しいし有難い。既読の作品も多い中、ただ美しいのではなく底知れぬ怖ろしさの滲む幻想、ますます凄みを増す老いの描写、戦争許すまじ…の筆致に、畏敬と感嘆が胸に溢れる。
とりわけお気に入りは、「壜の中」や「夏を病む」「ララバイ」「『希望』」、表題作(タイトルが秀逸)など…。「人形の家」に出てくる人形の写真が『ゆめこ縮緬』の表紙に使われたものにそっくりで、とても好きな忘れがたい話になった。
#読了 @libro.bsky.social
素晴らしい読み応え。オランダの作家の旅行記。旅人曰く、私はスペインに身を捧げた——よかれ悪しかれ。
10年前から何度もサンティアゴへ赴きながら、それについて書かなかった故にそこにいなかったという“私”の旅は、スペインの魂のうちへ入りこもうとして、横道の横道…へと誘われては内省を深めていく長い旅路となる。すべての風景、憧れに対する回答。
イスラム王朝の支配、レコンキスタの結果(どのようなイスラムがスペインに留まったのか)、スペイン・ハプスブルクの没落、(続く)
#海外文学 @libro.bsky.social
素晴らしい読み応え。オランダの作家の旅行記。旅人曰く、私はスペインに身を捧げた——よかれ悪しかれ。
10年前から何度もサンティアゴへ赴きながら、それについて書かなかった故にそこにいなかったという“私”の旅は、スペインの魂のうちへ入りこもうとして、横道の横道…へと誘われては内省を深めていく長い旅路となる。すべての風景、憧れに対する回答。
イスラム王朝の支配、レコンキスタの結果(どのようなイスラムがスペインに留まったのか)、スペイン・ハプスブルクの没落、(続く)
#海外文学 @libro.bsky.social
素晴らしい短編集だった。やはりサラ・ピンスカーいいなぁ。失われた時代の空気が確かにあったこと、不当な力に抗い守ろうとする其々の居場所、記憶にしまわれた愛おしい時間や場所のこと。
この先あり得そうでぞっとした「ケアリング・シーズンズからの脱走」は、ゾラの反骨心と気概に惚れ惚れした。「オークの心臓集まるところ」は、ピンスカーの歌を聴いて不穏さが増し、民謡の歌詞を研究サイトで検証する展開が凄く面白かった(ラストの余韻、想像の余地があって好き)。
(続く)
#海外文学 @libro.bsky.social
素晴らしい短編集だった。やはりサラ・ピンスカーいいなぁ。失われた時代の空気が確かにあったこと、不当な力に抗い守ろうとする其々の居場所、記憶にしまわれた愛おしい時間や場所のこと。
この先あり得そうでぞっとした「ケアリング・シーズンズからの脱走」は、ゾラの反骨心と気概に惚れ惚れした。「オークの心臓集まるところ」は、ピンスカーの歌を聴いて不穏さが増し、民謡の歌詞を研究サイトで検証する展開が凄く面白かった(ラストの余韻、想像の余地があって好き)。
(続く)
#海外文学 @libro.bsky.social
楽しみにしていた『彷徨 あなたが選ぶ赤い靴の冒険』が、めっちゃ好みでうほうほでした。
2025年11月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3482ページ
★先月に読んだ本一覧はこちら→ bookmeter.com/users/4839/s...
#海外文学 #読書記録 @libro.bsky.social
楽しみにしていた『彷徨 あなたが選ぶ赤い靴の冒険』が、めっちゃ好みでうほうほでした。
2025年11月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3482ページ
★先月に読んだ本一覧はこちら→ bookmeter.com/users/4839/s...
#海外文学 #読書記録 @libro.bsky.social
富を目当てに群がる追従者たちを、信の置ける友人であると勘違いしていた慈善家タイモンが、お人好しから一転、極端な人間嫌いとなり世を捨て人を恨む。そも友情などはどこにもなかった、故にそこには裏切りすらない…という悲劇であり風刺劇。
“ああ、良き友人たちよ、いずれ神々の思し召しにより、私が諸君に助けを求める時がきっと来る―—でなければ、どうして諸君を私の友と言えるだろう”
#海外文学 @libro.bsky.social
富を目当てに群がる追従者たちを、信の置ける友人であると勘違いしていた慈善家タイモンが、お人好しから一転、極端な人間嫌いとなり世を捨て人を恨む。そも友情などはどこにもなかった、故にそこには裏切りすらない…という悲劇であり風刺劇。
“ああ、良き友人たちよ、いずれ神々の思し召しにより、私が諸君に助けを求める時がきっと来る―—でなければ、どうして諸君を私の友と言えるだろう”
#海外文学 @libro.bsky.social
@libro.bsky.social
てゆか、ポントルモって日記が残ってたのね(ほぼ食事内容らしいけど)。
@libro.bsky.social
@libro.bsky.social
ハン・ガンを読むのは三冊目。河出文庫のフェアで手に取った。翻訳が素晴らしい…。
絶賛されているのに苦手な作家なので、薄い硝子に隔たれたような感覚で読んでいたら、それはそれで散文詩を味わうのにはよかったかも知れない。
#海外文学 @libro.bsky.social
ハン・ガンを読むのは三冊目。河出文庫のフェアで手に取った。翻訳が素晴らしい…。
絶賛されているのに苦手な作家なので、薄い硝子に隔たれたような感覚で読んでいたら、それはそれで散文詩を味わうのにはよかったかも知れない。
#海外文学 @libro.bsky.social
河出文庫のフェアで手に取ってみたら、面白かった。暴力への強い嗜好、その暴力を振るうために必要な力を天稟として持つ、新道依子の造形がよい(暴力が唯一の趣味とは難儀な)。そして名付けられない感情で結びついた依子と尚子、なれるものなら鬼婆に…と。
型に嵌った生き方などは出来るはずもなく、どうしても当たり前からはみ出していくクィアの物語だ。受賞時のスピーチと対談を併せて読んでよかった。
#読了 @libro.bsky.social
河出文庫のフェアで手に取ってみたら、面白かった。暴力への強い嗜好、その暴力を振るうために必要な力を天稟として持つ、新道依子の造形がよい(暴力が唯一の趣味とは難儀な)。そして名付けられない感情で結びついた依子と尚子、なれるものなら鬼婆に…と。
型に嵌った生き方などは出来るはずもなく、どうしても当たり前からはみ出していくクィアの物語だ。受賞時のスピーチと対談を併せて読んでよかった。
#読了 @libro.bsky.social
アーサー・ウェイリー英訳『源氏物語』の訳し戻し(らせん訳)と、パレスチナへの巡礼の旅。取り合わせの妙が稀な螺旋となる、素敵な詩集だ。
“(いづれの御ときにか)/レディ・ムラサキの/わたしの/はじまりの/ことば——/かがり火のさなかより”
@libro.bsky.social
アーサー・ウェイリー英訳『源氏物語』の訳し戻し(らせん訳)と、パレスチナへの巡礼の旅。取り合わせの妙が稀な螺旋となる、素敵な詩集だ。
“(いづれの御ときにか)/レディ・ムラサキの/わたしの/はじまりの/ことば——/かがり火のさなかより”
@libro.bsky.social
戦後イギリスの実験文学。行方不明になった少女Sの残した音声テープと日記、Sと共同生活を送っていた夫婦RとLのその後の暮らしが交互に語られる。音声テープの内容などは、断片的でわかり難くて偶然のように並ぶ言葉のところどころが美しい
Sの不在を抱え込んだRとL、欺瞞と妥協で互いを繋ぎとめていた2人の不協和音がじわじわと高まる。いつも受け身だったRと、どこか皮肉に夫婦を観察していたS。ルースがSを羨みつつ憐れんだように、Sもルースを救いたかったのだろうか。(その波紋をなかったことにしてこの先もRとLは…)
#海外文学 @libro.bsky.social
戦後イギリスの実験文学。行方不明になった少女Sの残した音声テープと日記、Sと共同生活を送っていた夫婦RとLのその後の暮らしが交互に語られる。音声テープの内容などは、断片的でわかり難くて偶然のように並ぶ言葉のところどころが美しい
Sの不在を抱え込んだRとL、欺瞞と妥協で互いを繋ぎとめていた2人の不協和音がじわじわと高まる。いつも受け身だったRと、どこか皮肉に夫婦を観察していたS。ルースがSを羨みつつ憐れんだように、Sもルースを救いたかったのだろうか。(その波紋をなかったことにしてこの先もRとLは…)
#海外文学 @libro.bsky.social
幾度読んでも凄まじさに愕然とする。冒頭におけるリア王の誤りに対して、彼の身に降りかかる惨劇の重みがいくら何でも不均衡で不条理だ。そして苦しんだ先の再会の喜びすら、一瞬の救いで終わってしまう無情さ。
解説によると、同様に死屍累々な『ハムレット』よりも、昨今では高く評価されることが多いとのこと(なるほど…)。フェミニスト的な読みをすれば、リア王がゴネリルに浴びせる呪詛は完全にアウトなので、すでに歪な親子関係があったのだろうとは思う。
#海外文学 @libro.bsky.social
幾度読んでも凄まじさに愕然とする。冒頭におけるリア王の誤りに対して、彼の身に降りかかる惨劇の重みがいくら何でも不均衡で不条理だ。そして苦しんだ先の再会の喜びすら、一瞬の救いで終わってしまう無情さ。
解説によると、同様に死屍累々な『ハムレット』よりも、昨今では高く評価されることが多いとのこと(なるほど…)。フェミニスト的な読みをすれば、リア王がゴネリルに浴びせる呪詛は完全にアウトなので、すでに歪な親子関係があったのだろうとは思う。
#海外文学 @libro.bsky.social