閉館が発表された直後のシネマカリテにて。
世代的に、子供の頃観てきたリアルタイムで公開された映画に登場するテロリストといえば、多くの場合IRAだった。
00年前後に紛争が鎮火してからまだ四半世紀なのに、あれほど激しい紛争のことを私も含む多くの人間が忘れかけていたところ、今のアイルランド北部(ニーキャップへの敬意を込めて)がどうなっているか、ニーキャップが実際にリリースしてきた楽曲と共に軽快に見せてくれた。
監督(84年生まれ)が近い世代ゆえ、にじみ出る同時代感がこそばゆくもあった。確かにアイルランド版トレスポ、だけど、ニーキャップは自ら表現する手段を見つけることができた。
閉館が発表された直後のシネマカリテにて。
世代的に、子供の頃観てきたリアルタイムで公開された映画に登場するテロリストといえば、多くの場合IRAだった。
00年前後に紛争が鎮火してからまだ四半世紀なのに、あれほど激しい紛争のことを私も含む多くの人間が忘れかけていたところ、今のアイルランド北部(ニーキャップへの敬意を込めて)がどうなっているか、ニーキャップが実際にリリースしてきた楽曲と共に軽快に見せてくれた。
監督(84年生まれ)が近い世代ゆえ、にじみ出る同時代感がこそばゆくもあった。確かにアイルランド版トレスポ、だけど、ニーキャップは自ら表現する手段を見つけることができた。
日本の敗戦後、岐阜から満州に入植した黒川開拓団の一部女性たちが引き揚げの際、同じ村の人々によってソ連兵への性接待に差し出されるという悲惨な出来事があった。そして村を守るためと犠牲になった女性たちを帰国後待っていたのは、誹謗中傷による二次加害だった。
2013年、女性たちのうちお二方が公の場で自分たちの体験を語り、それが自分自身だけでなく今現在の関係者たちの人生をも変えていく。80年の時をかけた #MeToo 映画かつ、(監督を含め)女性たちの連帯を感じる作品。傷ついた魂の癒しと再生の物語でもあった。
日本の敗戦後、岐阜から満州に入植した黒川開拓団の一部女性たちが引き揚げの際、同じ村の人々によってソ連兵への性接待に差し出されるという悲惨な出来事があった。そして村を守るためと犠牲になった女性たちを帰国後待っていたのは、誹謗中傷による二次加害だった。
2013年、女性たちのうちお二方が公の場で自分たちの体験を語り、それが自分自身だけでなく今現在の関係者たちの人生をも変えていく。80年の時をかけた #MeToo 映画かつ、(監督を含め)女性たちの連帯を感じる作品。傷ついた魂の癒しと再生の物語でもあった。
デモクラシータイムスで北丸雄二さんが勧めていたので観に行ってきた。
95年に公開、日本でも97年に公開された作品のデジタルリマスター版。
ハリウッドが映画史上、同性愛をどのように描いてきたかを、映画制作関係者(当事者含む)へのインタビューと120本もの作品の引用を併せつつ紐解いていく。
映画の中の同性愛者の描かれ方はまさに社会の鏡で、引用される概ね1930〜90年の作品における表現は60年の間で劇的な変化を遂げている。当然、95年時点では最新の表現でも、2025年の現時点から振り返ったら問題だらけだったりはするのだけれど。
デモクラシータイムスで北丸雄二さんが勧めていたので観に行ってきた。
95年に公開、日本でも97年に公開された作品のデジタルリマスター版。
ハリウッドが映画史上、同性愛をどのように描いてきたかを、映画制作関係者(当事者含む)へのインタビューと120本もの作品の引用を併せつつ紐解いていく。
映画の中の同性愛者の描かれ方はまさに社会の鏡で、引用される概ね1930〜90年の作品における表現は60年の間で劇的な変化を遂げている。当然、95年時点では最新の表現でも、2025年の現時点から振り返ったら問題だらけだったりはするのだけれど。
クローズドのゲイ・フンスと自分に正直に生きる女・ジェヒの友情と成長の物語。
LGBTQに風当たりが強く、日本以上にマチズモ的規範が強いとも言われる韓国でこういった作品がメジャータイトルとして制作されたことには大きな意味を感じる。
そして、韓国ほど分かりやすい形ではなくとも何かと“生きづらさ”の多い日本でも、若者がたくさん観て、何か感じてくれたらいいなあと思った。10代・20代で見たらきっともっと特別な作品になった気がする。
クローズドのゲイ・フンスと自分に正直に生きる女・ジェヒの友情と成長の物語。
LGBTQに風当たりが強く、日本以上にマチズモ的規範が強いとも言われる韓国でこういった作品がメジャータイトルとして制作されたことには大きな意味を感じる。
そして、韓国ほど分かりやすい形ではなくとも何かと“生きづらさ”の多い日本でも、若者がたくさん観て、何か感じてくれたらいいなあと思った。10代・20代で見たらきっともっと特別な作品になった気がする。
自らや自らの身体を憎んだことのあるすべての人(特に女性)に贈られた、解放の物語と受け止めた。
全体的につくりものっぽく寓話的に見える画作りや極めてナンセンスなジャンル映画的演出により、芯にある“叫び”が上手にコーティングされているけど、この呪縛の中で生きてる同志たちにはコラリー・ファルジャからのメッセージが届くという絶妙な作り。
前夜祭で観たときは近くの席の男性が断続的に声を出して笑っていて、批判する気は起こらずとも「いい気なもんですね〜(ニッコリ」とはなったかな。
プロダクトデザインや衣装もキメキメで、作り込まれまくった世界観だけでも楽しめた。
自らや自らの身体を憎んだことのあるすべての人(特に女性)に贈られた、解放の物語と受け止めた。
全体的につくりものっぽく寓話的に見える画作りや極めてナンセンスなジャンル映画的演出により、芯にある“叫び”が上手にコーティングされているけど、この呪縛の中で生きてる同志たちにはコラリー・ファルジャからのメッセージが届くという絶妙な作り。
前夜祭で観たときは近くの席の男性が断続的に声を出して笑っていて、批判する気は起こらずとも「いい気なもんですね〜(ニッコリ」とはなったかな。
プロダクトデザインや衣装もキメキメで、作り込まれまくった世界観だけでも楽しめた。
ぱっと見はゴシック・ホラー風、中身はミステリ、社会派スリラー、女性映画、実録犯罪物、と様々な味わいがある。
男性監督ながら、これだけ女性がメインとなる作品で観ていて違和感を持たなかったというのも新鮮に感じられた。
主演カロリーネ役のヴィクトーリア・カーメン・ソネも良かったけれど、個人的には助演ポジのダウマ役トリーネ・デュアホルムが超強烈でやられた。複雑な設定の役を、得も言われぬ芝居で体現してくれている。
ぱっと見はゴシック・ホラー風、中身はミステリ、社会派スリラー、女性映画、実録犯罪物、と様々な味わいがある。
男性監督ながら、これだけ女性がメインとなる作品で観ていて違和感を持たなかったというのも新鮮に感じられた。
主演カロリーネ役のヴィクトーリア・カーメン・ソネも良かったけれど、個人的には助演ポジのダウマ役トリーネ・デュアホルムが超強烈でやられた。複雑な設定の役を、得も言われぬ芝居で体現してくれている。
スウェーデン出身のマグヌス・フォン・ホーン監督(兼脚本)による長編3作目。私はこれが初めて観た作品だったが、めちゃめちゃ面白かった。
一次大戦終戦間近から終戦後にかけてのデンマークで、困窮の中なんとかサバイブしようとする女性主人公が、思わぬ事件に巻き込まれていく物語。
デンマークで史上最も物議を醸したと言われる実際にあった事件にインスピレーションを得たというフィクション作品なのだけれど、そのフィクショナライズのお手並みが鮮やかすぎる。
無慈悲な世界における善とは?悪とは?と、観ている者を揺さぶってくるところがたまらない。
スウェーデン出身のマグヌス・フォン・ホーン監督(兼脚本)による長編3作目。私はこれが初めて観た作品だったが、めちゃめちゃ面白かった。
一次大戦終戦間近から終戦後にかけてのデンマークで、困窮の中なんとかサバイブしようとする女性主人公が、思わぬ事件に巻き込まれていく物語。
デンマークで史上最も物議を醸したと言われる実際にあった事件にインスピレーションを得たというフィクション作品なのだけれど、そのフィクショナライズのお手並みが鮮やかすぎる。
無慈悲な世界における善とは?悪とは?と、観ている者を揺さぶってくるところがたまらない。
想像の百倍くらいセンチメンタルな恋物語だった。
ダニクレ演じるリー(バロウズの分身)が年甲斐も無くティーンネイジャーのようなロマンティックな欲望を滾らせて、悶え苦しむ。
相手が何を考えているのか知りたい、触れたい、言葉を超えてコミュニケーションしたい。相手の本質に触れられそうになった瞬間、立ち竦んでしまう。
これぞ恋だな〜〜と思いながら観ていた。
原作にプラスして膨らませた部分もバロウズの他作品の引用だったり、撮影・衣装・美術・音楽のこだわりぶりなどなど、グァダニーノが長く温めてきたなりの熱い思い入れを感じられるし、それがしっかり作品の出来を支えるものになっていると思った。
想像の百倍くらいセンチメンタルな恋物語だった。
ダニクレ演じるリー(バロウズの分身)が年甲斐も無くティーンネイジャーのようなロマンティックな欲望を滾らせて、悶え苦しむ。
相手が何を考えているのか知りたい、触れたい、言葉を超えてコミュニケーションしたい。相手の本質に触れられそうになった瞬間、立ち竦んでしまう。
これぞ恋だな〜〜と思いながら観ていた。
原作にプラスして膨らませた部分もバロウズの他作品の引用だったり、撮影・衣装・美術・音楽のこだわりぶりなどなど、グァダニーノが長く温めてきたなりの熱い思い入れを感じられるし、それがしっかり作品の出来を支えるものになっていると思った。
イーストウッド組スタッフによるアイルランドを舞台にした西部劇と聞き、観に行ってきた。
70年代のアイルランド。北西部の小さな街(Glencolmcille)にひっそり暮らしながら殺し屋稼業を営む老いた男の運命が、IRA活動家たちが街に潜伏し始めたことをきっかけに大きく動き…という筋。
何よりアイルランド北部の壮大で荒涼としてしかし美しい、自然の風景がたまらない。この背景が、キャラクターたちの人間性を肉付けしていると感じる。
イーストウッド組スタッフによるアイルランドを舞台にした西部劇と聞き、観に行ってきた。
70年代のアイルランド。北西部の小さな街(Glencolmcille)にひっそり暮らしながら殺し屋稼業を営む老いた男の運命が、IRA活動家たちが街に潜伏し始めたことをきっかけに大きく動き…という筋。
何よりアイルランド北部の壮大で荒涼としてしかし美しい、自然の風景がたまらない。この背景が、キャラクターたちの人間性を肉付けしていると感じる。
絶対に観た方がいい予感がする…と、避けがちな渋谷に足を運んで大正解。
第二次大戦後のローマで、当たり前のように夫に殴られ無能力者扱いされながら生きる主婦デリアの暮らしが、シニカルなユーモアを交えて描かれる。
どこに向かうのか…とハラハラ見ていて、連れて行かれた先には得も言われぬ爽快感が待っていた。
説明はあえて割愛するけれど、今のところ今年一番「観てよかった!」としみじみ思う映画だった。
配給のスモモさんには昨年の『オン・ザ・ロード 〜不屈の男、金大中〜』に続き良い作品を見せてもらえて感謝。
絶対に観た方がいい予感がする…と、避けがちな渋谷に足を運んで大正解。
第二次大戦後のローマで、当たり前のように夫に殴られ無能力者扱いされながら生きる主婦デリアの暮らしが、シニカルなユーモアを交えて描かれる。
どこに向かうのか…とハラハラ見ていて、連れて行かれた先には得も言われぬ爽快感が待っていた。
説明はあえて割愛するけれど、今のところ今年一番「観てよかった!」としみじみ思う映画だった。
配給のスモモさんには昨年の『オン・ザ・ロード 〜不屈の男、金大中〜』に続き良い作品を見せてもらえて感謝。
パンフレットによると《ネオノワール・スリラーというジャンルに根付く「ハイパー・マスキュリニティ(過剰な男らしさ)」の概念を覆したい》という監督の野心から始まった作品とのことだが、これはまさに大成功していると思う。
復讐譚でありスリラーであり社会派作品であり人間ドラマであり恋愛映画でもあるかもしれない。とにかく多面的に見させてくれる作品。
主演の2人の演技は素晴らしく、2人とも過去に観た作品とは全くの別人で、それぞれの人物の個性に没入させてくれた。
特に、ホモフォビックなMSM(登場当初)を演じるジョージ・マッケイの手負いの獣みたいな芝居が胸に突き刺さった。
パンフレットによると《ネオノワール・スリラーというジャンルに根付く「ハイパー・マスキュリニティ(過剰な男らしさ)」の概念を覆したい》という監督の野心から始まった作品とのことだが、これはまさに大成功していると思う。
復讐譚でありスリラーであり社会派作品であり人間ドラマであり恋愛映画でもあるかもしれない。とにかく多面的に見させてくれる作品。
主演の2人の演技は素晴らしく、2人とも過去に観た作品とは全くの別人で、それぞれの人物の個性に没入させてくれた。
特に、ホモフォビックなMSM(登場当初)を演じるジョージ・マッケイの手負いの獣みたいな芝居が胸に突き刺さった。
ちなみに、公開2日目だったこともあり、舞台挨拶も聴けた。10代の頃ニュース23で見ていた佐古さんが良きドキュメンタリー制作者として活躍されているのを見ると、"オールドメディア"も捨てたもんじゃないなと思える。
舞台挨拶は司会がTBS土井アナウンサー、佐古さんも元キャスターということで舞台挨拶のレベルを超えた充実した内容になっていた。
ちなみに、公開2日目だったこともあり、舞台挨拶も聴けた。10代の頃ニュース23で見ていた佐古さんが良きドキュメンタリー制作者として活躍されているのを見ると、"オールドメディア"も捨てたもんじゃないなと思える。
舞台挨拶は司会がTBS土井アナウンサー、佐古さんも元キャスターということで舞台挨拶のレベルを超えた充実した内容になっていた。
大田昌秀と翁長雄志という二人の沖縄県知事(とその対立)を軸に、この30年の沖縄現代史とそれを通して見えてくる”日本”の姿を浮き彫りにした政治ドキュメンタリー。
TBSと琉球放送の共同制作だけあり、豊富な過去映像と取材により、情報の密度が大変濃い。30年前から現在に至るまでということで、関係者の生の声が聞けるというのも強い。
政治的な面だけではなくパーソナルな部分もしっかり描かれており、特に以前から興味があった、翁長雄志という保守政治家がいかにして自民党や政権と対立するに至ったかという問いについてもきちんとフォーカスされており、なるほどなあと納得できるものがあった。
大田昌秀と翁長雄志という二人の沖縄県知事(とその対立)を軸に、この30年の沖縄現代史とそれを通して見えてくる”日本”の姿を浮き彫りにした政治ドキュメンタリー。
TBSと琉球放送の共同制作だけあり、豊富な過去映像と取材により、情報の密度が大変濃い。30年前から現在に至るまでということで、関係者の生の声が聞けるというのも強い。
政治的な面だけではなくパーソナルな部分もしっかり描かれており、特に以前から興味があった、翁長雄志という保守政治家がいかにして自民党や政権と対立するに至ったかという問いについてもきちんとフォーカスされており、なるほどなあと納得できるものがあった。
ローマカトリック教会という、現存する世界最古と思しき“ボーイズクラブ”によるリーダー選出の秘された選挙、と聞いただけでワクワクしてしまうが、実際、職人たちの熟練の手さばきによりきっちり美しく練り上げられたような仕上がりで、こちらもきっちり楽しめる快作スリラーだった。
ただの「おじさん祭り」も嫌いじゃないがそれだけでは済まさず、キリスト教の欺瞞含め、現代社会をしっかり見据えたテーマを綺麗に盛り込んでいるのも良かった。
レイフ・ファインズはこれでオスカー取り逃したらいつ取れるの〜という気持ちにもなってしまったが、まだまだがんばってほしい。
ローマカトリック教会という、現存する世界最古と思しき“ボーイズクラブ”によるリーダー選出の秘された選挙、と聞いただけでワクワクしてしまうが、実際、職人たちの熟練の手さばきによりきっちり美しく練り上げられたような仕上がりで、こちらもきっちり楽しめる快作スリラーだった。
ただの「おじさん祭り」も嫌いじゃないがそれだけでは済まさず、キリスト教の欺瞞含め、現代社会をしっかり見据えたテーマを綺麗に盛り込んでいるのも良かった。
レイフ・ファインズはこれでオスカー取り逃したらいつ取れるの〜という気持ちにもなってしまったが、まだまだがんばってほしい。
子供の頃見て正直よくわからなかった作品。今は、伊丹十三の考える「日本の男」と「日本の女」の恋愛における力学を描いた作品なのかなあ…と思いながら観ていた。
ナヨコを見ていると、こんな男に都合のいい女いないやろ〜〜と思ってしまうのだが「賢くて情にも厚くてしなやかに生きる女」でないと(あるいはそう振る舞えないと)うまく生き抜けない時代や環境っていうものも、確かにあるのかもしれない。(ナヨコはそもそも捨て子であるからして。)
鑑賞後は伊丹映画の音楽を多く手がけた本多俊之さんのミニトーク&スペシャルライブ。伊丹十三映画音楽メドレーを生で演奏してもらえて大感動だった
子供の頃見て正直よくわからなかった作品。今は、伊丹十三の考える「日本の男」と「日本の女」の恋愛における力学を描いた作品なのかなあ…と思いながら観ていた。
ナヨコを見ていると、こんな男に都合のいい女いないやろ〜〜と思ってしまうのだが「賢くて情にも厚くてしなやかに生きる女」でないと(あるいはそう振る舞えないと)うまく生き抜けない時代や環境っていうものも、確かにあるのかもしれない。(ナヨコはそもそも捨て子であるからして。)
鑑賞後は伊丹映画の音楽を多く手がけた本多俊之さんのミニトーク&スペシャルライブ。伊丹十三映画音楽メドレーを生で演奏してもらえて大感動だった
バランティーニ監督の前作『ボイリング・ポイント/沸騰』も観客に緊張感を強いる系の作品だったが、本作は少年×ミソジニー×殺人という組み合わせにより、更にストレス過多な出来。
少年役のオーウェン・クーパーがあどけない容貌から想像しにくい暴力性やミソジニーを発露する場面ではこちらの心が凍りつく。
有害な男性性もSNSの悪影響も未だ人類が対峙中の問題なので、安易な答えに導かなかったのは賢明と感じた。
1時間長回しについては自分に長回しフェティッシュがないせいか、物語に集中するにつれあまり意識せずに見ていたかも…
バランティーニ監督の前作『ボイリング・ポイント/沸騰』も観客に緊張感を強いる系の作品だったが、本作は少年×ミソジニー×殺人という組み合わせにより、更にストレス過多な出来。
少年役のオーウェン・クーパーがあどけない容貌から想像しにくい暴力性やミソジニーを発露する場面ではこちらの心が凍りつく。
有害な男性性もSNSの悪影響も未だ人類が対峙中の問題なので、安易な答えに導かなかったのは賢明と感じた。
1時間長回しについては自分に長回しフェティッシュがないせいか、物語に集中するにつれあまり意識せずに見ていたかも…
初めて観たのは年長〜小学校低学年だったと思うんだけど、あの頃から刷り込まれたせいなのか、今も自分の好きが詰まった作品。
庶民・金持ちの脱税あれこれも面白いし、捜査もスリリングで興奮するし、音楽も超かっこいいし、宮本信子も素晴らしいんだけど、やっぱり山﨑努の超セクシーぶりが自分には深く刺さる。
ご機嫌にダンスしてる場面最高。
板倉と権藤の間の、ある種の信頼関係のようなものもたまらない。友情や恋愛といったものとは異なる関係性の“特別さ”にこの作品で目覚めたのかもしれない。
初めて観たのは年長〜小学校低学年だったと思うんだけど、あの頃から刷り込まれたせいなのか、今も自分の好きが詰まった作品。
庶民・金持ちの脱税あれこれも面白いし、捜査もスリリングで興奮するし、音楽も超かっこいいし、宮本信子も素晴らしいんだけど、やっぱり山﨑努の超セクシーぶりが自分には深く刺さる。
ご機嫌にダンスしてる場面最高。
板倉と権藤の間の、ある種の信頼関係のようなものもたまらない。友情や恋愛といったものとは異なる関係性の“特別さ”にこの作品で目覚めたのかもしれない。
ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住区、マサーフェル・ヤッタに家族と共に暮らす青年バーセルは、カメラを手に、日々イスラエル軍や入植者たちから受ける暴力や不当な強制退去の様子を記録していた。
イスラエル人ながらイスラエルによるパレスチナへの不当な行いに疑問を持つジャーナリストのユヴァルと知り合ったバーセルは、仲間と共に、マサーフェル・ヤッタに長年突きつけられ続ける理不尽について世界に向けて問うた。それがこの作品である。
ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住区、マサーフェル・ヤッタに家族と共に暮らす青年バーセルは、カメラを手に、日々イスラエル軍や入植者たちから受ける暴力や不当な強制退去の様子を記録していた。
イスラエル人ながらイスラエルによるパレスチナへの不当な行いに疑問を持つジャーナリストのユヴァルと知り合ったバーセルは、仲間と共に、マサーフェル・ヤッタに長年突きつけられ続ける理不尽について世界に向けて問うた。それがこの作品である。
ジョージアで行われる女子柔道の国際大会に出場したイラン代表のレイラは試合を順調に勝ち進んでいくが、イスラエルの選手との対戦を避けようとする政府から棄権を強要される。レイラは家族を人質に取られ苦悩にもがくが、試合は進んでいき…という物語
メインとなるキャストは多くはないがそれぞれ印象に残る良い芝居をしていて、特に主演のアリアンヌ・マンディが素晴らしく、詳細は避けるけれど
ジョージアで行われる女子柔道の国際大会に出場したイラン代表のレイラは試合を順調に勝ち進んでいくが、イスラエルの選手との対戦を避けようとする政府から棄権を強要される。レイラは家族を人質に取られ苦悩にもがくが、試合は進んでいき…という物語
メインとなるキャストは多くはないがそれぞれ印象に残る良い芝居をしていて、特に主演のアリアンヌ・マンディが素晴らしく、詳細は避けるけれど
何度目かの『お葬式』はやっぱり古びない良作だった。
前回観たのは父が死ぬよりも前だったから、父の死を経て映画の手触りがまた変化したのを感じた。
最初に観たのは多分小学校低学年の頃で少なくとも10年に1回ペースで観てきてるけど、これからも折に触れて手触りを確認したい作品。
何度目かの『お葬式』はやっぱり古びない良作だった。
前回観たのは父が死ぬよりも前だったから、父の死を経て映画の手触りがまた変化したのを感じた。
最初に観たのは多分小学校低学年の頃で少なくとも10年に1回ペースで観てきてるけど、これからも折に触れて手触りを確認したい作品。
反政府運動を取り締まる司法当局勤めの父親と、その妻と娘2人の家族の物語であり、2022年に道徳警察に逮捕され死亡したマフサ・アミニさんの事件とそこから巻き起こった「女性、命、自由」運動から生まれた社会派スリラー。
観ている者にもひたすら圧のかかる2時間半だが、イラン社会で人々が(そして特に女性が)曝されている抑圧を擬似体験しているとも言えるのかもしれない。
それでも、監督が希望を持ってこの作品を作ったことはちゃんと伝わる。
信仰に厚い人も、自由に生きたい人も、それぞれが好きに生きられる世界を望む。
反政府運動を取り締まる司法当局勤めの父親と、その妻と娘2人の家族の物語であり、2022年に道徳警察に逮捕され死亡したマフサ・アミニさんの事件とそこから巻き起こった「女性、命、自由」運動から生まれた社会派スリラー。
観ている者にもひたすら圧のかかる2時間半だが、イラン社会で人々が(そして特に女性が)曝されている抑圧を擬似体験しているとも言えるのかもしれない。
それでも、監督が希望を持ってこの作品を作ったことはちゃんと伝わる。
信仰に厚い人も、自由に生きたい人も、それぞれが好きに生きられる世界を望む。
部下を失い、負傷しつつも本人は生き残れた…と思っていたのに(縊死だったが、不審な点も多く他殺説もあった模様)
チャン・テワン氏も自身は天寿を全うしたが家族が悲しい死を遂げているし、光州事件等と違いあくまで軍の中の話ではあるものの、12.12粛軍クーデターの残した爪痕は深い。
軍が一部の勢力に恣意的に使役され指揮系統が破壊され。これ以降には光州事件があり…そして2024年12月3日、と思うと感慨深いものもある。
部下を失い、負傷しつつも本人は生き残れた…と思っていたのに(縊死だったが、不審な点も多く他殺説もあった模様)
チャン・テワン氏も自身は天寿を全うしたが家族が悲しい死を遂げているし、光州事件等と違いあくまで軍の中の話ではあるものの、12.12粛軍クーデターの残した爪痕は深い。
軍が一部の勢力に恣意的に使役され指揮系統が破壊され。これ以降には光州事件があり…そして2024年12月3日、と思うと感慨深いものもある。
日帝時代の独立軍とそこに潜む日帝側の密偵の攻防。第三者的に登場する流れ者の暗殺者ハワイピストルが自分の好きなハ・ジョンウすぎて大興奮。
同じ時代を描いた『密偵』以上にフィクショナルな要素が詰まった印象だが、こちらはチョン・ジヒョン演じるスナイパー、アン・オギュンがメインに置かれている点が好感度が高かった。
『密偵』でイ・ビョンホンが演じていたキム・ウォンボンがここでもキーになっていて、この時期の韓国でキムウォンボンという人間が再評価されつつあった流れを感じる。(実際はこの時代にキム・ウォンボンとキム・グが協調するというのは考えられらないらしいが。)
日帝時代の独立軍とそこに潜む日帝側の密偵の攻防。第三者的に登場する流れ者の暗殺者ハワイピストルが自分の好きなハ・ジョンウすぎて大興奮。
同じ時代を描いた『密偵』以上にフィクショナルな要素が詰まった印象だが、こちらはチョン・ジヒョン演じるスナイパー、アン・オギュンがメインに置かれている点が好感度が高かった。
『密偵』でイ・ビョンホンが演じていたキム・ウォンボンがここでもキーになっていて、この時期の韓国でキムウォンボンという人間が再評価されつつあった流れを感じる。(実際はこの時代にキム・ウォンボンとキム・グが協調するというのは考えられらないらしいが。)
一家の稼ぎ手でキャリアを着実に築きつつ自由に生きるサンドラ(妻)と、或る事件をきっかけに夢に躓き家庭のサポートに専念せざるを得ないサミュエル(夫)、男女逆の設定ならどう感じただろう?とか、真実というものの曖昧さとか、見終えてから何度も反芻しちゃう作品。
サンドラはザンドラ・ヒュラーにあて書きしたとパンフにあったけと、納得の仕上がり。
そして前評判にも聞いていたが犬のスヌープ(パルムドッグのMessi)と弁護士ヴァンサン(スワン・アルロー)…すごいチャームでずるい。好き!
一家の稼ぎ手でキャリアを着実に築きつつ自由に生きるサンドラ(妻)と、或る事件をきっかけに夢に躓き家庭のサポートに専念せざるを得ないサミュエル(夫)、男女逆の設定ならどう感じただろう?とか、真実というものの曖昧さとか、見終えてから何度も反芻しちゃう作品。
サンドラはザンドラ・ヒュラーにあて書きしたとパンフにあったけと、納得の仕上がり。
そして前評判にも聞いていたが犬のスヌープ(パルムドッグのMessi)と弁護士ヴァンサン(スワン・アルロー)…すごいチャームでずるい。好き!
札幌で起きたヤジ排除事件を長いスパンで丁寧に追ったドキュメンタリーで見応えあり。
警察の行き過ぎた排除行為や不誠実な態度・対応に腹が立ってくるが、メインの被写体である大杉さん・桃井さんという若い二人がはっきりと自分の考えを持ち、それを主張している姿が清々しい。
最高裁で高裁の判決が覆ることを祈る。
札幌で起きたヤジ排除事件を長いスパンで丁寧に追ったドキュメンタリーで見応えあり。
警察の行き過ぎた排除行為や不誠実な態度・対応に腹が立ってくるが、メインの被写体である大杉さん・桃井さんという若い二人がはっきりと自分の考えを持ち、それを主張している姿が清々しい。
最高裁で高裁の判決が覆ることを祈る。