#かけひき」に寄せて
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キスの絵はなかったけど、小話ならあったので…。
小説のタグ参加不可なら消しますのでいってくだせえ(><)

離反した輝夜様を連れ戻した後の話。
※BLです

#EscapeGoat #みんなのキスの作品見せて #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/bunko_bg.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「紫煙を交わす」、「@nanaki-s.bsky.social」と記載されています。 画像情報：generated by 文庫ページメーカー / ユーザーアップロード画像 / フォント：源暎こぶり明朝 以下は本文の内容です。 　煙草を挟む指。 　細い棒を、薄く開いた唇が咥える。 　ゆっくりと、胸が膨らんで。 　煙草を離した唇から、細く紫煙が伸びる。 　天に昇っていくそれを見つめる、感情の薄い似せ紫の瞳。 　長めの似せ紫の髪が、風に遊ばれて揺れる。 　美しい日本庭園と池掘りを臨む縁側で、静かに佇む洋服姿の男は、すらりとして、綺麗。 　その立ち姿は、まるで水辺で寛ぐ美しい馬のよう。 　紫水は足音を立てず、ゆっくりと男に……輝夜に近づいた。 　近づく主の存在に気付いている輝夜は、しかし一向にこちらを見ない。 　静かに紫煙を燻らせて、待っている。 　紫水は敢えて声をかけず、唇に挟まれた煙草に手を伸ばした。 　二本の指で挟んで、引き抜く。 　煙を吐き出そうと微かに動いた唇に、素早く唇を重ねて。 　薄く開いたそこから、煙草の煙と一緒に吐息を吸う。 　バニラのように甘い香りが肺に薄く満ちて、わずかに痺れる。 　甘くて苦い、輝夜の味。 　煙だけではもの足りないと、紫水は舌を差し込んで口内を蹂躙した。 　輝夜も吝かではないらしく、それに乗ってキスを深くする。 「……ん、……」 　褥を連想させる、濃厚な口づけ。 　肺を満たしていた紫煙も、キスの合間に溶けて消える。 　透明な糸を引いて離れた二人は、互いに笑みを浮かべながら濡れた唇を舐めた。 「積極的やな」 　愉快そうに笑う輝夜に、紫水は答えず煙草を咥える。 　間接キス。 　甘く、不思議な味のする煙草を、躊躇わず肺に入れる。 　清廉潔白で大人しそうな紫水が煙草を吸う様は、まるでイケナイことをさせているような気がして、背徳感に胸が疼く。 　じっと見つめる輝夜の視線に、煽り笑うように視線を絡め、紫水は煙草を唇から離した。 　そして、笑みを刷いた唇から細く息を吐いて、愛しい獣に煙をかける。 　挑発。 　ついでのように、繋がったマナを軽く揺らしてやると、ひくん、と輝夜の体が震えた。 　その反応がかわいらしくて、紫水は無言で笑う。 　初めてでもないだろうに、敏感な事だ、と。 「……」 　面白くないのは、輝夜だ。 　自分を調伏した主とはいえ、相手は幼いころから可愛がっていた年下の男。 　そのうえ、持ち前の高いプライドをこれでもかと刺激されて、不機嫌に片眉をあげた。 　当然、このまま黙ってなどいない。 　紫水の指に挟まれたままの煙草に、顔を寄せて口を付ける。 　煙を深く吸って、離して。 　一拍の後、可愛くも生意気な姪孫の顔に、お返しのようにかける。 　少し驚いた主人の顔に留飲を下げて、してやったりという顔を見せた輝夜に、紫水は静かに獰猛な笑みを浮かべた。 「わるい子やなぁ」 　囁くように詰りながら、仕置きのようにマナを先ほどより強く揺らし、輝夜の熱を無理やり引きずり出す。 　快感の糸を、唐突に揺らされる衝撃。 　膝を付くことは避けたが、それでも息を詰めて動きを止めた輝夜の顎を、紫水の指が捉えて擽る。 　主を睨む似せ紫の瞳は、薄く煙って可愛いばかり。 「、…、卑怯や」 「いやか？」 「……」 　返事は、沈黙。
December 5, 2025 at 10:07 AM
platerillo.bsky.social
斜めに切った魚肉ソーセージに小麦粉をまぶし、溶きたまごに粉チーズを加えてよく混ぜたもの（たまご1個に粉チーズ大さじ1程度）にぶち込んで衣をまとわせ、熱して油をひいたフライパンに投入、残った卵液も加えて、箸で寄せながら両面焼く。お好みで胡椒を振る。トマトケチャップをかけるもよし。
魚肉ソーセージにはもともと味がついているし、粉チーズの塩気もわりと強いので、味つけ不要で失敗なし。
October 26, 2025 at 4:05 AM
idk0605.bsky.social
裸のままベットに転がるも、風邪をひかないようにって毛布かけたらそのまま月霞に抱き寄せられてベッドに戻るまでがセット
December 27, 2024 at 4:48 AM
noane-dec.bsky.social
フラッシュバック（1/2）/カラキョウ
※にわかもいいとこなので全て妄想です
※krsbさん刺青・喫煙描写あり
日陰者だからと線を引いていても彼のことを眩しく思う気持ちを捨てられないkrsbさんと、そんな彼の思いをわかっているから無理に押しつけようとはしないけれど、自分も同じ気持ちですよと隣でそっとkrsbさんを見つめるkyのお話
冷たい水の底にいる。 暗くて、寒くて、息苦しい。 体に力が入らない。 指先から内蔵まで冷え切って。 目蓋を持ち上げることすら億劫だった。 光が差すことのない。 終わりのない暗がりで、一人。 それでもどういう訳か息をしていた。 こぽ、と唇の端から小さな泡が零れる。 仕方なく、目を開いた。 見えたのは暗い寝室だった。 窓もカーテンも全て締め切って、光を一切入れないようにしている室内には色がない。そもそもの家具が少ないのもあって、やたらと無機質に見えるその光景は、カラスバが自身で作り上げたものだった。寝覚めにうるさいのを嫌って。出来るだけ物も色もなくした部屋。 ただでさえ朝はひどく頭が重かった。気分が悪い。息が重苦しい。 眉を寄せた不機嫌そうな表情のまま、カラスバは体を起こしてサイドテーブルの眼鏡を探った。そのくらいは見えなくてもわかる。冷えたフレームを耳にかけて目をこらした。よく通った視界でも、変わらず広がる暗い部屋。シーツを落とした体に触れる空気が冷たく染み渡る。無駄に広いせいでより寒々しく感じるのだろう。広すぎるのも 考えもんやな、とは心のうちだけで。背中の紋様を晒したままベッドを降りた。とにかく肺の空気を入れ換えたくて、眼鏡の隣にあったシガレットを手にボトムスだけを履いて歩き出す。 ひたひたと素足のまま。塵一つない床を歩いていく。 そういえば、と。つと、ここ暫くはあの夢を見ていなかったことに思い至る。 どこまでも続く、水の底。 暗くて、寒くて、息苦しい。 思い出すだけで指先が冷たくなる。 胸をつく、その衝動には覚えがあった。 幼い頃からまとわりつく、その名前は恐らく、孤独、と呼ばれるもので。 ギリと奥歯を歯がみして、カラスバは舌を打った。全くいつまで囚われているのか。 情けない。組織のトップがこれではいい笑いものだ。 苛立つ勢いのまま、部屋のドアノブを握って乱暴に戸を開いた。 とにかくヤニだ。いつも通り煙草を咥えて、一服しないとろくに頭も回らない。 そうして開けた扉の向こうには寝室と同じくらい真っ暗な廊下が続いている。 はずだった。 大げさにがちゃと音を立ててドアを開けば、そこにあるはずのない。ほのかな明かり。 カラスバは思わず目を見開いた。 いつもは色のない、慣れてきた目でようやく壁がわかるほど暗い廊下が。遠くから伸びてきた光でうっすら照らされている。 まさか。 何故。 思わず心臓が嫌な音を立てる。 カラスバは普段全ての部屋のカーテンを閉めている。 寝起きするためだけの家だ。そもそも太陽が昇っている時間にいることがほとんどない。昨日も当然帰ってきたのは夜中で、窓を開けることはなかった。 ならこの廊下の明るさは。 どうして、どこから。 焦ってカラスバが顔を上げた瞬間、微かに聞こえる声があった。一言、二言。断続的に聞こえるそれは、話し声のようだった。何を言っているかまではわからないけれど、時折大きくなるその声は、笑っている、ようで。 そこまで思い至った時、カラスバの瞳が小さく、震えた。 くしゃりと手の中の煙草が音を立てる。 波打ったのは心臓も同じで、揺れる心のまま、ふらりとカラスバは廊下へ足を踏み出した。 ぺた、ぺた、ぺた、と。 長い廊下を歩いて、光の先へ進んでいく。 リビングへ続くドアを開くと、そこには。 光があった。 「待って待って！　順番にあげるから」 一瞬、目が眩んで視界が真っ白になった。 思わずその強さに顔をしかめる。暫くは目が開けられなくて、ようやく細い視界から見えたその光景は。 やはり、光だった。 「喧嘩しないで。みんなの分あるから」 あふれる日差しの中で。 笑う彼と、ポケモンたち。 この家の広いバルコニーで、自分の手持ちとカラスバの手持ち、大勢に囲まれて声をあげていたのは、キョウヤだった。 ポケモンたちにあげるご飯を片手に、それぞれ頭を撫でたり声をかけたりしながら上手にいなしている。 楽しそうに。嬉しそうに。 「……眩しいな」 気づけば、声に出ていた。 近くの壁にもたれてその景色を眺める。眼鏡越し、クリアに見える世界の中で。笑い声をあげているのはキョウヤだけなのに、みんなが鳴いて気をひこうとするから賑やかなものだった。裾を引っ張られたり髪を乱されたり。それでも笑顔を絶やさない。 それが、キョウヤだった。 悪夢が遠ざかっていた理由を思い出す。同時に昨日の雨や、仕事帰りに濡れた彼を捕まえてこの家に帰って来た時のことも思い出した。眠る前までは確かに降っていた雨。体が冷えるからと、遠慮するキョウヤを先に風呂に入れてゲストルームへ押し込みベッドに入るまで見届けた。自分は適当にシャワーだけですませて自室に倒れ込んで。 それで、あの悪夢。 ぬくもりを忘れた夢を、久しぶりに見る羽目になった。 そうだった、と。カラスバがまるで遠い世界を見るようにぼんやりと眩しい光景を眺めていると。つと、キョウヤの足下に居た一匹が家主に気づいて顔を上げた。すぐにくいとキョウヤの裾を引く。 「あっ、カラスバさん」
November 30, 2025 at 12:24 PM
siriusg963.bsky.social
【Please,Please, …… .】/フロジェイ #A5ページメーカー
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「Please, Please, …… .」、「@Sirius_g963」と記載されています。 以下は本文の内容です。 【Ｐｌｅａｓｅ，　Ｐｌｅａｓｅ，　……　．】 　　／フロジェイ 　上質な台紙で造られた冊子はページ数が少なくて、表紙を開くと大判のポートレート写真がこちらへにこりと微笑みかける。映るヒトは少女と見まごうものから、大人の女性まで。人魚もいれば人間もいるのだが、実家の稼業もあって獣人族や妖精族はいなかった。 「さて、次はフロイドのお眼鏡に叶う相手がいるでしょうか」 　上体を起こしたジェイドが、デスクから次のお見合い写真を取り上げた。それまで眺めていた、栗毛の女のそれはベッドの端へ除ける。先に隅へ追いやられていた察しが、ボロボロと床へ落ちていった。今日はシーツを交換し、ベッドメイクも施したフロイドのベッド下には、貸本やスナック菓子の包みがたくさん落ちていた。三時間前のジェイドは「ベッドが片付いているのはいいですね」と言っていた。 「おや、綺麗なブロンドだ。天然素材でしょうか？」 「ええ～……てかオレよりキレー？」 「いえ、あなたはかわいい系じゃないですか」 「そう？」 「そして僕もかわいい担当です、おそろいですよ」 「じゃあそれでいいや」 　裸のフロイドの隣へ寝転んだジェイドもまた裸だった。いつもは怜悧に小魚をねめつける視線が、今は慈しみを込めてこちらを見つめていた。髪を梳かれてうながされたから、フロイドはようやく眼前のお見合い写真へ顔を向けた。なるほど、艶やかで適度に巻かれてゆるやかなウェーブ描くブロンドは、傍目にみてもよく手入れされていて綺麗だ。 「ジェイドはこいつがいーの？」 「さあ」 「さあって」 「フロイドはどうですか？好みの女性がいるのなら、お母さんに連絡してはいかがでしょう」 「は？ヤだよ、顔合わせとかめんどくせー。どうせ親父たちも本気じゃねーんだから」 　傍らの兄弟は思うところがあるようで、端へ除けていた別の写真をたぐり寄せていた。映るのは緊張した面持 ちの、黒髪の女性……というか少女。一見して幼く見えるがフロイドたちよりいくつか年嵩らしいと、母の字で小さなメモ書きが添えてある。本当は興味がないくせに、律儀にもさも関心がある風にメモまで寄せている。こういうところは特にジェイドと似通っていた。 「こっちに興味あんの？」 「そうかもしれません」 「ふぅん……」 　穴の開くほどにじっと写真を見つめる様子が、どうしても気に食わなかった。フロイドの歯形で傷ついた肩をなぞった、骨ばっていてまろみのある肌触りに不自然な凹凸がある。デコボコとしたさわり心地が、それなりにフロイドの寂寥とした心を慰めている。俯いたせいで垂れた黒髪を、一点のピアスホールが彩る白い耳殻へかけてやった。 「どうも」 「んー」 　腕を付いて上体をわずかに起こし、ジェイドは先ほどよりも熱心に写真の女を観察しているらしい。フロイドと鏡写しの金とオリーブは、こちらを一瞥することなく垢抜けない女性を見つめた。オレの方がいいよ、ずっと見ていて楽しいでしょ……――そう言えるほど天真爛漫な性格ではなかった。どちらかというと兄弟と同じでひねくれているから、自分の付けた噛み跡を抉ることでしか気を引く方法を知らないのだ。ジェイドは時々「痛いです」と呟いたが、それだけだ。 「んぁ」 「なに？」 「血が出ちゃった」 「だから痛いと言っているでしょう」 「ごめぇん」 　とうとう傷口が開いて、豆粒のような鮮血がぷくりと膨れて顕在した。海では血液はすぐに水中へ流れて行ってしまう、陸におけるよいことは血を流しても捕食者がやって来ないことだ。しかしフロイドは、ジェイドが流した血を指先掬いとって口に含んだ。わずかに生き物の味がするが、それ以外はほとんど自らの分泌した唾液だ。 「どうしてでしょう、ここは陸なのに捕食者がいるようですね」 「そーだね。ほっといていい？ジェイド～」 「……ふふ。嫉妬ですか？」 「あ？」 　誰が、なにに。ひくりと眼筋が引き攣った、ようやくフロイドの方を向いた兄弟は目を細めて静かに笑っている。何か言おうとしているうちに、ジェイドはポートレートの冊子をぱたんと閉じたし、再びベッドの端へと追いやった。乱れたシーツへ寝転んだジェイドへ追随するように、その長躯へと覆いかぶさって手首を抑えた。兄弟はくつくつと小馬鹿にしたような笑い声を漏らすばかりで、それ以上なにも言うことはなかった。 そして無言でフロイドの背へ回された指は、きっとまた柔らかい皮膚を引っ掻いて傷をつけるのだろう。
September 16, 2025 at 12:27 PM
miso3939.bsky.social
着ていた上着を🎈にかける
｢走って暑くなってきたからなお前に貸してやろう｣
満足そうに🌟は笑う。
｢ではまた学校でな！🎈も風邪をひく前に帰るのだぞ！遅刻するなよ！！｣
そう言って走っていく🌟の背中を🎈は静かに見つめる。
｢🌟くんの匂い…｣
そっと少し小さい上着に袖を通し、口元に袖を寄せる。
｢熱出そう…かも…｣
飛び立ったはずの小鳥が🎈の元に戻ってきてチュンチュンと噂するように歌を歌う。
November 29, 2024 at 12:52 PM
piccoli0105.bsky.social
昨夜は家飲み

スルメイカを炒めたの、頂き物のマスクメロンの白和え、ゴーヤちゃん、魚肉ソーセージとズッキーニとスライスチーズの春巻きなど

こないだかめじま商店で食べた桃の白和えが美味しかったので、それをイメージしつつ、Youtubeをいくつか参考にして白和えの地を作ってみました。裏漉し器欲しくなるね

#青空ごはん部　#自炊班
晩ごはんの写真 じゃがいものスパイス炒め、ラタトゥイユも作りました メロンの白和えは、こないだかめじま商店で食べたものを参考に、白和えの地を和えるのではなく下にひいてメロンをその上に盛り付ける感じ ナッツとディルを散らして、オリーブオイルをかけて、桃モッツァレラに寄せてみてます 葡萄はパレリャーダを使った、スペインのオレンジワインの写真
July 9, 2024 at 10:53 PM
sirayuna.bsky.social
今日の夢
図書室で昔私に好意を寄せていた人のよい香りがした。
脈略なく電車にカマキリがひかれたかどうか線路を調査する。
棚には干からびたトマトが隠されてると男が示唆する。
降霊術に参加すると、大きなゴーグルをかけられ、鏡に映った自分を見させられる。かわいい。
November 22, 2025 at 2:32 AM
misaki1x11.bsky.social
恥ずかしさから泡で埋め尽くされた湯船に逃げ込んだらしい。今にも泡の中に顔を突っ込んでしまいそうだ。俺も隼に倣うようにシャワーを浴び、浴槽へと手をかける。
「隼、もう少し前に寄ってくれ」
「ぼ、僕、もう出るから…！」
「なんだ？お前の体をよく見せてくれるのか？」
「そうじゃなくて！」
「それとも、話を長引かせて俺に風邪をひかせたいのか？」
「も、もー！」
文句を言いながらも、足を抱えるように縮こまって俺の入るスペースを開けてくれる。
そんなに逃げなくても良いのにな？逃げられると追いたくなるだろう？
滑り込むように隼の背中側に入り、細い腰を引き寄せた。悲鳴を上げて抵抗するが遠慮なく抱き寄せてやる。
October 22, 2024 at 2:54 PM
lencon7.bsky.social
お題「雨の日」で小説書きました。
オイルについては詳しくないので、さらっと読み流していただければ…。
#ライアキ
#ライアキワンライ
　ライカンは内心、これは失敗した、と焦っていた。 　雨の日のルミナスクエアは人通りが少ないのが幸いした。もし晴れた日の、それこそ土日でもあったりしたのなら、眉を顰めたライカンに街ゆく人が少なくとも一人はライカンに心配そうな声をかけていただろう。ポツポツと服の表面を濡らす程度の雨の中、誰もいないことを確認し、ライカンは足早に路地裏へ移動した。 　義足の足首に違和感を持ったのはつい先ほど。義足にまだ慣れていない素人ならば見逃してしまいそうな、わずかな動きの鈍さを、ライカンはすぐさま捉えた。 　原因はおそらく新しく変えたオイルだろうか。軒下のないビルとビルの合間でライカンは壁に寄りかかり、膝を曲げて足首をよく見える高さまで持ち上げた。 　右、左、上、下、と動かし、その機動を確かめる。微かな掠れ音がライカンの耳に届き、このオイルは失敗した、と確信した。 「困ったな」 　雨がだんだんと強くなり、ライカンの毛並みの良さも失われていく。体温はシリオンの中でも高い方なのでこの天候で風邪を引くということはまずない。しかしせっかく手入れをした毛並みが雨の汚れで台無しになっていることを思うと、この不自由な足首でも早く帰宅しなければ、と焦りが生じる。 「何が困ったんだい？」 　雨の音が少し高くなった。傘にあたる雨音で、すぐ隣に安心できる人間が現れたのだとすぐにわかった。 「……これは失敬、このような失態をお見せするわけにはいかないのですが」 「失態ではないさ」 　側に立つ青年──アキラが、ライカンの毛並みに気遣うように傘を傾けた。傘の大きさは一般的なもので、おおよそ二人分、それこそ持ち主のアキラと大柄なライカンの二人をカバーできるほどの広さはない。 「いけません、アキラ様。肩が濡れてしまいます」 「大丈夫さ。それよりもライカンさん、あなたの足元の方が今は一大事じゃないのかい？」 「……お見通し、でございますか」 「すまない、少し前から様子を見ていたんだ」 　気付かなかった。雨音とイレギュラーな出来事で周囲の気配に鈍感になっていたのだろうか。これは修行が必要だ、とライカンは心の隅に留めておき、「動けないほどではございません」と笑顔を作った。 「まだ冬の雨です。いけません。ひとまず喫茶店にでも入りましょう」 「動かないで、ライカンさん。少し様子を見させてくれ」 　そう言うや否や、アキラは傘をライカンに預けると、ライカンの足首をよく見ようとしゃがみ込んだ。 「アキラ様！」 「ライカンさんの義足は本当に素晴らしいね。完璧だ。いつか触れてみたいと思っていたんだ」 　触ってもいいかい、としゃがんだ姿勢のままアキラは顔を上げた。彼はこう見えてとても頑固だ。唯一の片割れのお願いを聞いてあげたりと譲歩慣れしていながらも、ここぞと言う場面では決して妥協しない。 「……少しだけです。本当に寒くなりますので」 「ありがとう、ライカンさん」 　傘をアキラの方へ傾け、せめて細身の彼が風邪をひかぬよう細心の注意を払った。 　その本人といえば、戦闘用に起動していない状態の足首に触り、「ふむ」と少し考えこむような仕草をしていた。 「オイルを変えたのですが、おそらくそれが原因でしょう」 「なるほど。オイルの配合については詳しい人を知っているから、後で紹介しよう」 「あなた様のご縁の恩恵に預かれるとは……。心より感謝申し上げます」 「大袈裟だよ、ライカンさん」 　いつもの調子で応対されてしまった。しかし彼の人脈はTOPSでも引けを取らないほどの機動性と柔軟性を持ち合わせている。あらゆる層の垣根を越える縦横無尽さはいざという時ほど役に立つ。 「おそらくだけど、このオイル、戦闘用に調整したものかな」 「ええ、昨今、ホロウでの戦闘が増えておりますので」 「だとしたら、僕らパエトーンの責務の範囲内だ。これからもライカンさんにはお願いしたいからね」 「ですが」 「ちょっと足首を動かすよ」 　ライカンの反論を受け流し、アキラはライカンの右足首を自らの腿の上に乗せた。自重でアキラの足が折れないよう、より一層ライカンは足元に全神経を注いた。 「──、よし、完了。少し動きを調整してみた。どうだろうか」 「い、いつの間に」 　工具も持ち合わせていない状態でどうやって動きを調整することができるのだろうか。アキラはただライカンの右足首を凝視しただけである。それも瞬間的に。 　まるで魔法の手ならぬ、魔法の眼である。 「確かに、動きが滑らかになっております」 「きっと義足の方で新しいオイルにびっくりしたんだろうね」 「……そう、受け取っておきましょう」 「本当だよ、ライカンさん」 　これ以上の推測を許さないかのような不敵の笑みを見せ、アキラは「よっこらしょ」と立ち上がった。 「くしゅん」 「っ、アキラ様、帰りましょう。お車でここまでいらっしゃったのですが？」 　ライカンは濡れ切ったアキラの肩を寒風摩擦のごとく摩った。 「いや、電車だよ。散歩をしに」 「この雨の中？」 「いや、たまにはいいかなって」 「よくありません。全く」 　アキラの肩を抱き寄せながら、ライカンは足早に駐車場へと目指した。思っていた以上にアキラの身体が冷えている。筋肉の熱がほぼ感じられず、骨と皮しか存在していないかのようだ。 「とてもいい散歩になったな」 「ええ誠にありがとうございます早く体を拭きましょう」 「ライカンさんの砕けた口調も聞けたし」 「っ、それは、本来ならあなた様にお見せするものでは」 「だから風邪をひいてしまっても多めにみてくれ。こんなんでも僕はとても幸せな気持ちなんだ」 「──、たかが口調ごときであなた様に風邪をひかれてはこちらの身が持ちません」 　とても困った人だ。全然悪びれる様子も見せないのだから。隣から溢れる笑い声に、ライカンは思わず思いため息を吐き出してしまう。 「貴重なため息も聞けた！」 「あなた様は私をなんだと思っていらっしゃるのか……」 「大事なエージェントで、大事なパートナーさ」 「100点満点のご回答、誠にありがとうございます」 　駐車場が見えてきた。早くこの調子に乗ったアキラを落ち着かせないといけない。もしかしたらその様子すら発熱の前兆かもしれない。 「さあ、帰りますよ」 　アキラを後部座席に乗せ（もちろんタオルであらかた水気を取った）、周囲の安全を確認したところで、ライカンは滑らかに動くようにあった足首でアクセルを思いっきり踏んだ。
January 19, 2025 at 2:31 PM
monzen9666.bsky.social
#kuramonzengallery
＜＜＜ 本日の作品 ＞＞＞

現在 当ギャラリー2Fでは、京都芸術大学 ギャルリオーブ にて開催中の
『 #怪談 #KWAIDAN ラフカディオ・ハーンとの邂逅 』でも展示している
"怪談" 作品を 間近でご覧いただけます。

その中からピックアップしたのは▽
#SUDI / #スーディ「 #Soul / #魂 」

In response to Lafcadio Hearn’s ‘#Diplomacy’
#ラフカディオ・ハーン 「 #かけひき」に寄せて

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怪談作品に合わせたオブジェや掛軸も展示しております。
ぜひギャラリーへお越しください◎
May 21, 2024 at 1:36 AM