倉方健作編『「ふらんす」100年の回想』には、この二篇が収録されているとのことです。
"創刊100年を迎えた雑誌『ふらんす』の歴史をたどるべく、過去の記事から精選したアンソロジー。10年ごとに詳細な解説を付す"
倉方健作 編著 『「ふらんす」100年の回想』
www.hakusuisha.co.jp/book/b671424...
倉方健作編『「ふらんす」100年の回想』には、この二篇が収録されているとのことです。
反対日の丸というのは、私の発明した概念で、要するに「白地に赤く」の反対、「赤地に白く」である。アンティ日の丸である。
小学校にあがるようになって、最初の図画の時間に、クレヨンで日の丸の旗を描くことを教師に命ぜられた。私は画用紙の一方の側に、普通の日の丸を描き、もう一方の側に、反対日の丸を描いた。左右対称で、絶妙のアイデアだと自分では思っていた。
反対日の丸というのは、私の発明した概念で、要するに「白地に赤く」の反対、「赤地に白く」である。アンティ日の丸である。
小学校にあがるようになって、最初の図画の時間に、クレヨンで日の丸の旗を描くことを教師に命ぜられた。私は画用紙の一方の側に、普通の日の丸を描き、もう一方の側に、反対日の丸を描いた。左右対称で、絶妙のアイデアだと自分では思っていた。
思うに、二階堂奥歯・三島由紀夫・ニーチェの系譜は、
「自己破壊に向かう精密機械」という点で、たしかに一つの棚に並ぶ。
ただ、澁澤龍彥はこの棚に置くと少し違和感がある。
苦痛を味わい尽くす二階堂とは対照的に、
彼には“苦痛が少ないほど幸福”というショーペンハウアー寄りの静けさがある。
なんならストア派と言ってもいい。
にもかかわらず、澁澤はニーチェも三島もこよなく愛する。
方向が180度違う者同士が並び、しばしば同類とみなされるのは不思議である。
いや、自明の理である。
思うに、二階堂奥歯・三島由紀夫・ニーチェの系譜は、
「自己破壊に向かう精密機械」という点で、たしかに一つの棚に並ぶ。
ただ、澁澤龍彥はこの棚に置くと少し違和感がある。
苦痛を味わい尽くす二階堂とは対照的に、
彼には“苦痛が少ないほど幸福”というショーペンハウアー寄りの静けさがある。
なんならストア派と言ってもいい。
にもかかわらず、澁澤はニーチェも三島もこよなく愛する。
方向が180度違う者同士が並び、しばしば同類とみなされるのは不思議である。
いや、自明の理である。
「いえいえ、だめです、なんといったってアダプテーションがいちばんえらいんです。そしてわたしがいちばんアダプテーションしています。」
「いいえ、ちがいます。ケアがえらいのです。いちばんケアなのはわたしです。」
「自らの権力性を自覚していることだよ。自らの権力性を自覚しているのがいちばんえらいんだよ。わたしがいちばん自らの権力性を自覚しているからわたしがえらいんだよ。」
「いえいえ、だめです、なんといったってアダプテーションがいちばんえらいんです。そしてわたしがいちばんアダプテーションしています。」
「いいえ、ちがいます。ケアがえらいのです。いちばんケアなのはわたしです。」
「自らの権力性を自覚していることだよ。自らの権力性を自覚しているのがいちばんえらいんだよ。わたしがいちばん自らの権力性を自覚しているからわたしがえらいんだよ。」
たんじろうが、きぶつじむざんを うえました。
「つよい つよい おにに なれ。
おおきな おおきな おにに なれ。」
つよい、げんきの よい、
とてつもなく おおきな きぶじつむざんが できました。
たんじろうは、
きぶじつむざんびのくびを きろうと しました。
「うんとこしょ、
どっこいしょ。」
ところが、くびは きれません。
たんじろうは、
れんごくさんを よんで きました。
れんごくさんが、ぜんしゅうちゅうで、
たんじろうが、ぜんしゅうちゅうで、
「うんとこしょ、
どっこいしょ。」
それでも、くびは きれません。
れんごくさんは、しにました。
たんじろうが、きぶつじむざんを うえました。
「つよい つよい おにに なれ。
おおきな おおきな おにに なれ。」
つよい、げんきの よい、
とてつもなく おおきな きぶじつむざんが できました。
たんじろうは、
きぶじつむざんびのくびを きろうと しました。
「うんとこしょ、
どっこいしょ。」
ところが、くびは きれません。
たんじろうは、
れんごくさんを よんで きました。
れんごくさんが、ぜんしゅうちゅうで、
たんじろうが、ぜんしゅうちゅうで、
「うんとこしょ、
どっこいしょ。」
それでも、くびは きれません。
れんごくさんは、しにました。
40年ぶりくらいで見返してみると、カミーユは宇宙空間で息苦しいと言ってヘルメットのバイザーを開けてしまうし、モビルスーツの中から「出してくださいよー」と言って終わるのである。これは、やっぱり富野由悠季本人だよなあと思う。
40年ぶりくらいで見返してみると、カミーユは宇宙空間で息苦しいと言ってヘルメットのバイザーを開けてしまうし、モビルスーツの中から「出してくださいよー」と言って終わるのである。これは、やっぱり富野由悠季本人だよなあと思う。
polyandria.ru/noage/catalo...
仏語訳が出たときには、「ドラゴンボールっぽい」という評価があって、フランス人は『ドラゴンボール』好きすぎだと思ったが、『タンクタンクロー』っぽいのは確かなので、当たらずとも遠からずかもしれない。
ロシアではどのように受け止められるのだろう?
polyandria.ru/noage/catalo...
仏語訳が出たときには、「ドラゴンボールっぽい」という評価があって、フランス人は『ドラゴンボール』好きすぎだと思ったが、『タンクタンクロー』っぽいのは確かなので、当たらずとも遠からずかもしれない。
ロシアではどのように受け止められるのだろう?
polyandria.ru/noage/catalo...
仏語訳が出たときには、「ドラゴンボールっぽい」という評価があって、フランス人は『ドラゴンボール』好きすぎだと思ったが、『タンクタンクロー』っぽいのは確かなので、当たらずとも遠からずかもしれない。
ロシアではどのように受け止められるのだろう?
澁澤龍彥のもとを離れた矢川澄子が向かった先が谷川雁だった。
そういえば、谷川はファイナル・ファンタジーの主題歌の作詞をしていたこともあった。
www2.library.pref.kumamoto.jp/bunreki/cat3...
澁澤龍彥のもとを離れた矢川澄子が向かった先が谷川雁だった。
そういえば、谷川はファイナル・ファンタジーの主題歌の作詞をしていたこともあった。
www2.library.pref.kumamoto.jp/bunreki/cat3...
同じように、過度の自己擁護も、自虐と区別がつかない。将棋が強くなれない人の典型のような気がする。
同じように、過度の自己擁護も、自虐と区別がつかない。将棋が強くなれない人の典型のような気がする。
時は流れて、今でもポストは便利であり、他にもトランス〜とか、ネオ〜とか便利なものが各種ある。
しかし、だんだん不便なものの方がありがたいような気がしてきた。
時は流れて、今でもポストは便利であり、他にもトランス〜とか、ネオ〜とか便利なものが各種ある。
しかし、だんだん不便なものの方がありがたいような気がしてきた。
『jem』は「創刊号と2号だけで4人も澁澤龍彦を単著のかたちで訳している方が参加」とのこと。ゆっくりと時間をかけながら、世界は澁澤龍彥を発見しつつあるのかもしれません。
文芸誌『jem』日本文学の海外受容の状況を大特集した号を刊行したい!
クラウドファンディング挑戦中!
📖世界中の翻訳家、研究者による計7語圏についての論考
📖創作として韓国科学文学賞優秀賞受賞の傑作を一挙掲載!
9/7(日)まで📣
ぜひ、ご支援をお願いいたします。
greenfunding.jp/lab/projects...
『jem』は「創刊号と2号だけで4人も澁澤龍彦を単著のかたちで訳している方が参加」とのこと。ゆっくりと時間をかけながら、世界は澁澤龍彥を発見しつつあるのかもしれません。
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ショーペンハウアー師匠は、だらだら同じことを繰り返してだるいところと、急に切れ味鋭くはっとさせられるところが交錯するので油断できない。
「ストア派を評価する肩の力が抜けたニーチェ」みたいなところも良い。
ショーペンハウアー師匠は、だらだら同じことを繰り返してだるいところと、急に切れ味鋭くはっとさせられるところが交錯するので油断できない。
「ストア派を評価する肩の力が抜けたニーチェ」みたいなところも良い。
私は、ニーチェがあれば、ショーペンハウアーいらんのではと思っていた。「物自体」なんてものを肯定している時点で、駄目ではないか。
だが読んでみると違った。少なくともニーチェの「権力への意思」なるものは、ショーペンハウアーの「意思」があればいらないもののように思える。
澁澤がショーペンハウアー全集に書き込みをしているのは、伊達ではないようだ。
私は、ニーチェがあれば、ショーペンハウアーいらんのではと思っていた。「物自体」なんてものを肯定している時点で、駄目ではないか。
だが読んでみると違った。少なくともニーチェの「権力への意思」なるものは、ショーペンハウアーの「意思」があればいらないもののように思える。
澁澤がショーペンハウアー全集に書き込みをしているのは、伊達ではないようだ。
1740年生まれ、貴族、小説家。
主な作品に『ソドム百二十日』『悪徳の栄え』『美徳の不幸』など。
その作品のほとんどは獄中で書かれたもの。 日本では澁澤龍彦さんが紹介し、広く読まれるようになりました。
(澁澤は本当に偉大)
www.kawade.co.jp/np/isbn/9784...
1740年生まれ、貴族、小説家。
主な作品に『ソドム百二十日』『悪徳の栄え』『美徳の不幸』など。
その作品のほとんどは獄中で書かれたもの。 日本では澁澤龍彦さんが紹介し、広く読まれるようになりました。
(澁澤は本当に偉大)
www.kawade.co.jp/np/isbn/9784...
すると、いつの間にか「デスクトップピクチャ」が「壁紙」になっている。既存のものがあまりしっくりこないので、「壁紙……壁紙……」と考えているうちに、ウィリアム・モリスの壁紙なんていいかもしれないと思いつく。リアル壁紙のサンプル画像を使わせていただいて、タイル表示すると、なかなかいい感じがする。
唐草模様だし、澁澤龍彥っぽいということにしよう。唐草模様というのは外国の草模様というほどの意味だから、モリスは立派な唐草模様なのである。
すると、いつの間にか「デスクトップピクチャ」が「壁紙」になっている。既存のものがあまりしっくりこないので、「壁紙……壁紙……」と考えているうちに、ウィリアム・モリスの壁紙なんていいかもしれないと思いつく。リアル壁紙のサンプル画像を使わせていただいて、タイル表示すると、なかなかいい感じがする。
唐草模様だし、澁澤龍彥っぽいということにしよう。唐草模様というのは外国の草模様というほどの意味だから、モリスは立派な唐草模様なのである。
最近はガンダムに難民が出てきて、主人公が難民のために怒って警官に暴力を振るったりしているが、ガンダム好きな日本人はたぶん難民に優しくない。
40年くらい前、まだ存命の澁澤龍彥が、ETを匿うような優しい子供が公園の老人浮浪者を殴ったり蹴ったりして殺すのだと言っていて意味がわからなかったが、けっこう当たっていたのかもしれない。「同情する弱い人間ダメ」のニーチェ理論なのだ。
最近はガンダムに難民が出てきて、主人公が難民のために怒って警官に暴力を振るったりしているが、ガンダム好きな日本人はたぶん難民に優しくない。
40年くらい前、まだ存命の澁澤龍彥が、ETを匿うような優しい子供が公園の老人浮浪者を殴ったり蹴ったりして殺すのだと言っていて意味がわからなかったが、けっこう当たっていたのかもしれない。「同情する弱い人間ダメ」のニーチェ理論なのだ。
しかし、このルサンチマンという語には、現在ではほとんど忘れられてしまってはいるがもう一つ別の意味がある。それは、人にはむかう純血の獣のように、受け入れることのできない人間、あきらめることを知らない人間の抱く憤りである。「誘惑者」は創造をうながす高貴なルサンチマン、聖なる怒り無くしては存在し得ない。それを知るニーチェはこう語る。……
しかし、このルサンチマンという語には、現在ではほとんど忘れられてしまってはいるがもう一つ別の意味がある。それは、人にはむかう純血の獣のように、受け入れることのできない人間、あきらめることを知らない人間の抱く憤りである。「誘惑者」は創造をうながす高貴なルサンチマン、聖なる怒り無くしては存在し得ない。それを知るニーチェはこう語る。……
2025年4月26日(土)、14:00~
◆発表者:跡上史郎
◆発表題目:澁澤、ニーチェ、現代思想
詳しくは以下のブログをご参照ください。
shibusawaken.blogspot.com/2025/03/blog...
2025年4月26日(土)、14:00~
◆発表者:跡上史郎
◆発表題目:澁澤、ニーチェ、現代思想
詳しくは以下のブログをご参照ください。
shibusawaken.blogspot.com/2025/03/blog...
このシリーズは、他社で文庫化、電子書籍化されていない澁澤の著作を拾いあげてくれるし、注が充実していたり編集が良いのでありがたい。
www.hanmoto.com/bd/isbn/9784...
このシリーズは、他社で文庫化、電子書籍化されていない澁澤の著作を拾いあげてくれるし、注が充実していたり編集が良いのでありがたい。
www.hanmoto.com/bd/isbn/9784...
sakuhinsha.com/essay/9923.h...
に、澁澤龍彥「風と光と影」が収録されている。
『旅のモザイク』(人文書院、1976・6)の「日本列島南から北へ」の中の一篇。
こういう例は他にもあるのかもしれない。
sakuhinsha.com/essay/9923.h...
に、澁澤龍彥「風と光と影」が収録されている。
『旅のモザイク』(人文書院、1976・6)の「日本列島南から北へ」の中の一篇。
こういう例は他にもあるのかもしれない。
『澁澤龍彥蔵書目録』を眺めながらつらつら考えてみるに、澁澤は名アンソロジストであるが、アンソロジー好きでもあり、しかもけっこう仕事の上でもお世話になっているのではないだろうか。
例えば、「マドンナの真珠」の材源は、劉佳寧さんの研究により〔02-09-26 仏蘭西の華、井上勇訳、聚英閣、1927〕中のマクオルラン「薔薇王」であることが判明している。原書ではないのだ。
『澁澤龍彥蔵書目録』を眺めながらつらつら考えてみるに、澁澤は名アンソロジストであるが、アンソロジー好きでもあり、しかもけっこう仕事の上でもお世話になっているのではないだろうか。
例えば、「マドンナの真珠」の材源は、劉佳寧さんの研究により〔02-09-26 仏蘭西の華、井上勇訳、聚英閣、1927〕中のマクオルラン「薔薇王」であることが判明している。原書ではないのだ。